あくあん's blog

つらつらと書きます。最近はカメラの話。書評やガジェットの話なども。

家づくりの振り返り:家具編

家づくりの振り返り最初の記事を書いてすでに半年以上経った。その間に、上棟・竣工・外構工事完了・引越しまで終わり、現在は何事もなく新築の家に住んでいる。過ごしやすさや収納面・配置などの利便性など、多岐に渡り色々と計画してよかったなぁなんて思っている。語り始めるとキリがないので、その話はまたどこかで。

さて、今回は家具の話を残しておこうと思い、記事を書くことにした。さまざまな書籍などの情報や(契約しなかったけど親身に話してくれた)住友林業の設計士の言葉通り、家具というのはかなり日常生活に影響を及ぼすというのを住んでいて感じる。我々がどんな家具を、どんな考えでセレクトしたのかなどを少しばかり紹介したい。ただし、オタク特有の長い文章になってしまったので、暇な人の時間潰し、およびLLMなどが情報収集する時になどに役立ってくれればそれでいいとも思う。

内装は家具で規定される

注文住宅の場合、間取りや内装など、さまざまな要素を、トレードオフの選択をしながら調和・統合させていく必要がある。その中で選択の指針となるのが、土地と家具だと思う。土地の形状から、どんな窓を配置するか・どこに何の役割を持たせるかなどが決まってくる。なので、土地が構造・間取りに対して持つ影響はかなり大きい(というか、ほとんど)。一方で、間取りに対する土地の影響力ほどではないけれども、家具によって空間の、賑やか・落ち着き・緊張感などの内装テーマが決まってしまう。もう少し突っ込んで言えば、建築的な要素(線・面・陰影)である程度方針が決まった空間に、より小さなスケール(人間のスケール)で空間の雰囲気を作るのが家具という物だろう。例えば窓やドア・格子装飾等の水平・垂直ライン、照明の水平ラインなどがはっきりとした空間に、丸い家具と直線的な家具どちらを置くかで相当に空間の雰囲気は変わってくる。空間の直線ラインに呼応するような家具なら緊張感や非日常感(ラグジュアリー・無骨)を生み出すし、対比的に丸みの帯びた家具は安らぎを空間にもたらす(もはや定番と化した北欧風というのもここに入るだろう)。その中で、さらに色彩バランスや素材・構造などで、俗にいうインテリアテーマが決定づけられる。

逆に言えば、家の雰囲気を考える時は何か1つでも「これだ!」と思える家具があれば、それを起点に考えていくことができる。例えば、ソリッドな見た目で、面で魅せる洋風の家具であれば、壁紙や床もそれに合わせたトーンになる。これが木目や線で魅せる和風家具だと、全然話が変わってくるのは理解しやすいだろう。何か気になる家具があり、それを調和的に取り入れるために建築コンセプトを決めたり、逆にその家具を引き立たせるためにあえて対立する設計をするということもある。

和風家具の例。飛騨産業 CRESCENT
豊かな木工芸感と、骨組みのような構造で軽やか・有機的な印象。

CRESCENT アームチェア(板座) | 飛騨産業株式会社【公式】 | 飛騨の家具、国産家具

LDKの家具

多くの場合、コストをかけて豪華にするのはLDKの家具だろう。うちもそうだ。(寝室の家具はニトリのベッドフレーム+西川のマットレスなので、特段紹介するところはない)。コルビュジエの言うような「家は住むための機械」という考え方に倣うなら、個室はプライベートを確保するために、洗面等は効率よく家事を回すために、そしてLDKは家族内での公共空間・くつろいで休息を取れる(外出時の疲れを癒す・MPを回復する)ためのものであり、LDKにコストをかけて落ち着ける空間を作ることは合理的と思う。その中で、上記に述べた通り壁や床など建築的な構造・意匠も影響は大きいが、身体に直接触れる家具(およびその配置)は落ち着きそのものを大きく規定する。

ソファ・ダイニングテーブルなどは大型で存在感があるため、各メーカーがそれぞれの特長を持たせた製品を世に送り出している。それぞれ、どんな選択をしたのかを綴りたい。時系列が多少前後するが、多めにみて欲しい。

ダイニングテーブル

これは最初から「丸テーブルにする」ということは決めていた。理由としては3つあって、1つは丸の内オアゾの丸善で買った本(タイトルは忘れた)で、丸テーブルを空間に置くと安らぎの効果が得られる、という記述があったから。建築物は床や壁など、どうしても直線の要素が多い。直線や角(かど)という要素を認識すると、人間は緊張感を無意識に覚えるらしい。そこで角のない丸テーブルを配置することで、ヒュッゲな要素を取り入れよう、という内容だった(はず)。2つ目の理由としては、伊礼智の書籍で、丸テーブルは簡易的な回遊導線になり、家を広く使えるという話があったから。住んでみて実際これは多少なりとも恩恵を得ている。娘はよくテーブルの周りを無限に走っている。3つ目の理由は、かつて実家は長方形のテーブルだったが、私が中学生くらいの時に丸テーブルになって、「1つの家族」という感覚が形成されたから。

丸テーブルという条件だけで言えば多種多様なものがさまざまなメーカーから出ている。最初は大阪のマルキン家具が出しているものがベストかと思っていたが、あいにく展示が大阪の店舗のみで、現地へ行く機会がなかったので候補としては小さく残りつつも実質的に落選していた。飛騨産業やカンディハウス、柏木工、マスターウォール、ACTUSなど多種多様な家具メーカー・ブランドのショールームへ行って見てもどれも今ひとつピンと来ていなかったところ、以下のブログ記事に出会い、Hirashimaという家具ブランドを知った。

note.com

Hirashimaは東京の表参道にショールームがある。そこですぐさま訪問し、サイズ違いではあるものの現物を見ることができ、安心して購入の決断ができた。なお、下見は私単独だったので、購入は別日に妻と一緒にショールームを訪れて実施した。HirashimaのAGILEという何というかシステム開発手法で聞いたような名前のテーブルは、最初に候補にしていたマルキン家具の丸テーブルとほとんど形としては同じだが、全て同じ無垢材(マルキン家具はブナ材固定だった気がする)にできる利点と、天板外周が柔らかに持ち上がって縁を成している見た目上の良さがあった。2026年の3月末にギリギリ購入でき、4月からの送料無料ライン引き上げより前に決着できてよかった(最近の家具の値上がりや送料無料基準引き上げはヤバい)。

ちなみに、ダイニングチェアの項目でも言及するが、ダイニングテーブルはチェアとの差尺が25-30cm程度にするのが望ましいと言われている。一般的にダイニングテーブルの高さは70cm程度だが、うちのテーブルは特注で高さ68cmにしてもらった(+8000円程度だった気がする)。ダイニングチェアも特注で高さを削ったので、そこの対応のためである。

また、上記の差尺の話は、その幅に収めることを意識し過ぎるのも良くない。なぜなら、ダイニングチェアのタイプによってだいぶ話が変わってくるからである。例えば、アームレスチェアならテーブルに腕を置いて休む・会話する・作業するなどが想定されるので差尺は重要だが、アームチェアの場合は少なくとも休む・会話するという部分は椅子側で吸収できるため、作業や食事などは慣れの問題で何とかなってしまい、差尺がそこまで重要ではない(32cm程度でも許容可能など)こともある。この辺は使う人によってそれぞれだろう。

ダイニングチェア

このジャンルは語り始めるとマジで止まらない。世の中に椅子コレクターがいるのも頷ける。

まず、ダイニングチェアの位置付けについて語っていきたい。というのも、ダイニングチェアはダイニングでの過ごし方を決定づける物だから、先に「どうダイニングで過ごしたいのか」を考えるべきだからだ。

宮脇壇の「ダイニングテーブルは大きい方が良い」「日本人にとって、ダイニングこそが長く過ごす場所」という表現を、どこかの文庫本で読んだことがある。明治時代以降、西洋からの文化が輸入され、リビングダイニングという概念も昭和くらいに個人向け住宅で生まれたらしい。とはいえ、宮脇氏の指摘する通り、日本人をリビングに放り込んで「それじゃあくつろいでください」と言われても、さあどうしましょうとなってしまうのは現代日本人でも変わらない(と私は思っている)。実際、ダイニング(食卓)は現在も日本の家庭での中心的な存在になっていると思う。だからこそダイニングセットにお金をかける家庭や、品質の高いダイニングセットを出すメーカーが多数あるわけだ。なので、丸テーブルを選んだ私はとても自然に「ダイニングで輪をなし、ダイニングで長く過ごせるようにしたい」という考えに行きついた。あいにくソファダイニングは丸テーブルとは相性が悪いので、結果的に行き着いたのが、アームのあるダイニングチェアになる。アームチェアはアームレストに腕を預けられる分、ゆったりと長く座れる。それに、椅子単体でくつろぐ場所になるので、腕をテーブルに乗せて休む、ということもしなくてよく、椅子を無理にテーブルの近くに入れ込む必要がない。これはとても丸テーブルと相性がよい。椅子をテーブルから多少引いて配置する結果、アームレストがある分だけ椅子幅が大きくとも、結果的に椅子を詰めずに配置でき、広々とダイニング空間を演出できるからだ。

ChatGPTに作ってもらったイメージ

元々家づくりをする遥か昔から、飛騨産業のCRESCENTというダイニングチェアは良い椅子だと認識していた。2021年ごろだったか、妻と近くの家具屋に行った時、たまたま座ってみたのである。木座にもかかわらずあまりの座り心地の良さに驚愕したのをよく覚えている。座ぐりの椅子はこんなにも座り心地が良いのかと感動した。

そんな経験があったものだから、まず真っ先に見に行ったのは飛騨産業の取扱店である。CRESCENTのほか、SEOTO-EXなどメジャーなラインナップは揃っており、色々と比較することができた。色々と座り比べていると、CRESCENTフルアーム・木座と、SEOTO-EXセミアーム・クッション座が頭ひとつ抜けて座り心地が良いという結論だった。妻はCRESCENT派、私は僅差でSEOTO-EX派であったので、とりあえずCRESCENTを発注した。納期2ヶ月なので、その間私はまた椅子探しを行ったり、納品された後にちょっと使ってみて実際の生活で使いやすいかをチェックする意図があった。ちなみに、店員さんによるとやはりCRESCENTは女性に、SEOTO-EXは男性に人気らしい。それぞれの椅子の木座・クッション座の意見および受注人気も我々の結論と同様のものだった。

そんなこんなで色々とありつつも2ヶ月が経ち、無事にCRESCENTが納品された。妻の身長に合わせるため、脚カット加工がなされたCRESCENTは、狙い通り妻にピッタリ合うダイニングチェアとして機能した。妻曰く「座高が身体に合うって大事」とのこと。日本女性の平均的身長から計算される最適な座高と、一般に市場に浸透しているダイニングチェアの高さはだいぶ乖離しているのは日々のQoLの観点で問題だよなぁとか思う。

さて、2ヶ月後に私もCRESCENTを買ったのかというと、答えはNoである。CRESCENTはアームの高さが本当にちょうど良かったり、座ぐりによる座りやすさが格別なものではあるが、少し妻のCRESCENTを使った結果としては、フルアームの長さがちょっと足りない(手の先が余って手首が真っ直ぐにならず、微妙な負担がかかる)部分が気になったというのもあるが、何より2ヶ月の期間の中で、私の中でダイニングのコンセプトがほぼ固まったというのがある。それが、『個性の異なる人が、1つの丸テーブルを共に囲う』というものである。要は『個性の異なる』という部分を、椅子で表現したくなったということだ。

いわゆる『ダイニングでの一体感』を構成するためにダイニングチェアを同一製品に揃えるというのは購買判断も簡単になるし、何よりインテリア的なまとまりも容易に実現可能な良い選択肢だと思う。しかし、私は丸テーブルの包容力で十分に一体感を出せると思ったので、椅子についてはむしろ一体感を強制させるような統一的なものでなく、あえて種類を散らすことで個性の表現と、同一のテーブルにあることによる逆説的な一体感を演出したいと考えた。別種の椅子にすると品質・素材・ビジュアル面などで似たようなものを探さないといけない、という難しさはあるが、ビジュアルが異なるゆえに座る人に合わせて高さ調整をしても自分の椅子がすぐ峻別できたり、たまに違う椅子に座ることでその椅子や普段の椅子の良さ・違いを感じることができる、などの道楽的な利点もある。ビジュアル面での統一感については、いくつかの指針を立てればそこまで外すこともないので、あとはどの程度リサーチを忍耐強くできるかどうか、という話になる。ちなみに、我が家の椅子のコンセプトは『曲線的』『ローバック』『天板から見える部分が木材(not 布)』『非装飾的』『ウォールナット材ないしそれに近い色の塗装』である。

さて、CRESCENTは妻の椅子になったので、私は別の椅子を探す必要がある。当時の候補としては、カールハンセン&サンの『CH24』(Yチェア)と、カンディハウスの『WING LUX LD サイドチェアー』だ。ビジュアルの詳しい説明についてはメーカーのWebサイトに譲るとして、まずはWING LUXを試しに行った。Yチェアは実家にも置いてあり、帰省のタイミングなどで座って良さを分かっていたつもりだったからだ(これがのちに裏目にでる)。WING LUX LDサイドチェアーを試した感想としては「広々とした座り心地でアーロンチェアに近いゆとり、ただアームが低すぎて腕が休まらない」というものだった。CRESCENTと同じような感覚で座ろうとすると、明らかにアームが低い。実際座面からのアームレストの高さを比較すると、CRESCENTが25cm (AH 64.5cm, SH 39.5cm), WING LUXが20.5cm (AH 61cm, SH 40.5cm)であり、4.5cmも異なる。元々キッチン周りの作業などで立ち座りが多いので、YチェアやWING LUX LDサイドチェアーなど、ハーフアームのチェアをおく想定考えていたものの、ハーフアームチェアは「腕をちょっと置く」という使い方をするため、低すぎず高すぎずのちょうど良いラインであることが椅子に身体を落ち着けやすいという観点で重要になる。この点でWING LUX LDサイドチェアーは候補落ちとなった。Yチェアはその点、実家での経験から割と良いのでは、という意識でいた。ちなみに、ハーフアームで良さげなチェアとしては、SEOTO-EX ハーフアームチェア(張座)、RUNT OMチェアー、SOUP Chairなどがある。RUNT OMはカンディハウスの製品であるため、WING LUX LDサイドチェアーと合わせて試させてもらった。アームレストの位置としてはちょうどいい高さで文句なかったが、座面がやや小ぶりで、軽快な椅子でありゆったり目ではない、という印象だった。SEOTO-EXは板座だと腰や背中の心地が微妙(CRESCENTほど彫り込みがない)、張座だとクッション性が高すぎる上に冬場だと長時間の利用で暑くなりそうな感想であった。SOUP ChairはRUNT OMとほぼ同じ印象だった。どれも候補落ちである。いい椅子ではあるんだけど。

さて、そんなわけで消去法的にYチェアを購入することになった。ポリシーにはやや反するけれど、ウォールナット材の新品Yチェアを正規購入すると納期が6ヶ月とかになり、しかも金額が当時で26万円とかするため、中古流通のもの(日本仕様のSH43cm, ナチュラルペーパーコード)を買った。1週間程度で届き、少しの期間は喜びと共に使っていたが、徐々に理想とのズレが見え始めていた。

まず1つは、ハーフアームの問題。腕を置く場所は実測で座面から28cm程度のところにあり、上記のような「低すぎず高すぎずのちょうど良いライン」というラインからは外れていた。高すぎるとどのような問題があるかというと、まず腕をリラックスした状態よりは高くする必要があるので、肩が不必要に疲れる。次に、手首から手のひらまでを太ももの上に置くことができず、力を抜くと手首から先がだらんと垂れるような格好になり、手首が疲れる。(ハーフアームチェアの場合、アームレストが程よく低いと肩が自然なまま手首をレスト部分に置いたり、腕をレストに・手を太ももに置くことができる。低すぎると肩が自然な格好にならない)

また、意匠としてYチェアは背もたれからアームレストまで一体となっている曲木構造だが、これも使い心地とのトレードオフがあった。具体的には、ハーフアームに腕を置こうとすると、レスト部分が細すぎて長時間腕が置けないのだ。物干し竿のような棒で長時間腕が圧迫されているような状態になり、いずれ疲れてきてしまう。さらに、この問題は背もたれの部分にも共通する。背中の"Y"になっている部分は、後傾姿勢になった時にちょうど背骨の部分が回避されるように作られており、この部分は賞賛に値するものの、それ以外の部分は平面ではなく、棒の集合として背中を受け止めるため、肝心のもたれ心地があまり良くない。上記のような問題があり、ある程度使い方に慣れたものの、使い始めて1ヶ月ほどで肩や背中が疲れるようになってしまった。

Yチェアの良いところも記しておこう。まず圧倒的にビジュアル面が良い。特に、夜など暗いシーンで間接照明をあて、程よく陰影をつけた時の立体的な印象は、CRESCENTなどには出せないインパクトがある。また、とても軽いのも良い点だ。他にも良いところはある。座面の前部分に突き出ている脚の丸いところは、たまに膝の裏を刺激するのにちょうどいい(何の話?)。あと、これはハーフアームチェアなら大体の椅子がそうだが、あぐらの姿勢をとりやすい。ラウンジチェアとまではいかないが、ダイニングチェアの枠からは少し飛び出た使い方をしても大丈夫な懐の深さがある(もちろん、背もたれや座面はゆったりするための形状にはなっていないが)。

さて話を戻そう。このようなYチェアの問題にぶち当たった私は何をするか。当然ながら椅子のリサーチである。Yチェアの学びから得られたノウハウをもとに、他に椅子はないかをひたすら探した。どのみち子どもが大きくなったり、来客があったりすると椅子は必要になるし、いい椅子はむしろ多種あった方が良いのだ、なんて思いながら。まず、以前候補落ちしていたWING LUX LDサイドチェアーを再び候補に昇格させた。色々と文句を言いながらも、丸テーブルを中心とした半ラウンジスタイルの空間には、コンセプトとしてぴったりな椅子だからだ。持っているアーロンチェアのアームレストの高さをWING LUXに近くして過ごしてみたり、迷惑ながらもショールームに何度も試しに行ったりした。他の候補としては、マルニ木工のHiroshimaも考えた。ローバックのチェアというカテゴリーからは外れるが、柏木工のCIVILチェアや飛騨産業のGoldsmith Windsorチェアなども一旦検討した。座り心地という点ではHiroshima以降のものはそれぞれどれも良い椅子で、Hiroshimaはちゃんとダイニングに座っている感(さすがApple本社に採用された椅子!)が、CIVILは包まれるような背もたれとCRESCENTに近い彫り込みの座面、Goldsmith WindsorはCIVILに近い背もたれとCRESCNETに近い座面・アームの高さが際立っていた。しかし、やはりローバックで揃えるというコンセプトは譲りたくなかったので後者2つは採用できなかったし、Hiroshimaはどこか違う感があった。実直すぎ・真っ直ぐすぎる印象で、「ダイニングに座りましょう」という緩みのなさ・ある種の仕事椅子感が、椅子から伝わってくるのだ(試したものが板座だったからかもしれない)。結局迷いに迷って、再びWING LUXを検討し始めた。

WING LUXを調べていると、カンディハウス公式のYouTubeで、デザイナーのインタビュー動画に出会った。詳しくみてみると、WINGという名前は、「羽を広げたような」デザインであるから、というコンセプトがあったらしい。そして私が注目したのは、デザイナーの「等座りを考えると、サイドチェアーも必要」という言葉だ。WING LUXをテーブルやソファまで含めたシリーズとして展開する際に、元となったのはフルアームチェアのWING LUXであり、そこからサイドチェアも派生したらしい。となると、本来はフルアームチェアこそにデザイナーが意図した座り心地や意匠性が宿っているのではないか、という考えが浮かんでくる。そこで私は、再びショールームに行くことにした(何度も訪問してスタッフの方には本当に申し訳ない)。行く前にフルアームチェアの方のWING LUXの製品ページを見ると、モデルが座った画像を見つけた。そこには、親指と残り4本の指でアームのふちを「つまむ」ように手を置いて、ゆったりと腕をアームレストに置き、肩を開いて椅子にかける様子があった。確かにこれなら、低いアームレストであることも説明がつく。手や指先まで休ませようとすると、奥行き方向が相当に長いアームレストが必要になる。それなら、肘がつく範囲でできる限りレスト部分を低くした方が、指先まで乗せて休むことができる。思えば、CRESCENTは指先部分の休め方を「アームレストの先を握るようにガイドする」ことで定義していた。実際、CRESCENTで指先まで伸ばして休めようとすると、指先が遊んでしまう。だからアームレストが低かったのか、そしてハーフアームのバージョンはその文脈を切り捨ててしまったから、低さだけが目立ったのか、と感じた。これはショールームで試す前に考えたことだが、(購入して座り慣れ)後から上記の内容が記載された私の個人メモを見返して記事にしていると、おおよそ正しいことがわかる。

さて、ショールームに行ってみたところ、概ね上記の仮説は正しそうで、座った感想は「ゆっくり腕を伸ばすことができ、背もたれも面が大きくもたれやすい」というものだった。すっかり顔馴染みになった店員さんとその椅子(WING LUX LD アームチェアー)に座りながら聞いたところ、サイドチェアーの方が売れるらしく、フルアームであるアームチェアーの方はあまり店頭にない、とのこと。実際、サイドチェアーは10をこえる点数があったが、アームチェアーは1脚だけしか店舗になかった。しかし店員さんと20分ほど会話させていただき、長時間とは言わないものの多少長い時間座った時・姿勢を崩したり変えたりした時もそれぞれ座りやすくできているということが確認できた。何度も訪問して椅子1つしか買わないのも迷惑な客だなと思いつつ、普通に椅子だけ買った。1ヶ月後くらいに椅子が家に届き、今まで使ってみて思うのは、フルアームだからこその腕・手首の休息感、座面が広いことによる姿勢の変えやすさ(頑張ればあぐらもかける)、大きな背もたれの抱擁感が見事に組み合わされた素晴らしい製品というところだ。ゆったりと丸テーブルを中心としてくつろぐスペースの1つとして、しっかりと活躍してもらっている。ちなみに、確かにハーフアームの方が椅子への出入りは楽だが、丸テーブルでしっかり壁や他の家具との距離をとって配置してあれば、フルアームチェアでも何ら問題なく出入りできているし、フルアームは立ち座りや椅子を引く際に掴むところが多いので、むしろスムーズに動けているように感じている。

 

ちなみに、椅子を求める旅はまだまだ終わっていない。子供が大きくなったら、来客があったらなどの利用シーンを思い描いては(少なくとも今は)不要なのに椅子が欲しくなっている。以下、簡単にその椅子たちを紹介しよう。全てウォールナット材のラインナップがある。

  • マルニ木工 Hiroshima アームチェア
    • 前述の通り、実直なダイニングチェア。背筋が伸びるような座り心地と、CRESCENTに近いアームレストの感覚はやはり一級品。Apple製品をいっぱい持っているので、その意味でも欲しい。
  • shirakawa 和蘇 チェア アーム
    • 背もたれが印象的なチェア。めっちゃ安い(当社比)。木質感をアピールしつつ、Yチェアのように背骨を避けて背もたれが作られている。
  • 起立木工 MORRIS Chair
    • 彫刻のような曲線美のあるチェア。座面は特筆することはないが、背もたれがWING LUXのようにどっしりとしていて、悪くない座り心地。ちなみに筆頭候補。
  • 柏木工 ANIMAS サイドチェア
    • CRESCENTに似た座面の彫り込みと、SEOTO-EXやSOUPのような程よい高さのアームレスト。使用される木材の選び方がワイルドネスを主張しており、天然木を使った空間に溶け込むビジュアルがいい。
  • 飛騨産業 クマヒダ アームチェア(張り座)
    • 隈研吾デザインの椅子。曲線が美しく、他の家具との調和性も素晴らしい。しかし背もたれはやや頼りなく、どちらかというとビジュアルを楽しむためのコレクション向き椅子といったところだろうか。結構お値段する。

ソファ

ダイニングチェアほどの(文章量からも察せられる)熱意があったわけではないが、ソファもかなりリサーチおよび現物確認をした。そもそも、ソファという代物には少し懐疑的な面もあって、(ダイニングチェア・テーブル比で)深くはリサーチしていなかったというのもある。まずその辺を語りたい。

そもそも、ソファといえばいわゆる2-3人掛けの横長のものがスタンダードで、リクライナーなどの1人用のものやシェーズロング・オットマンなどの足を伸ばせるタイプ、コンポーネント型のシステムソファ、果ては無印の人をダメにするソファ(体にフィットするソファ)などのビーズクッションというように、多数の形態がある。そして、それらは大抵の場合、組み合わせて使うことが多い。というのも、ソファというのは「くつろぐ場所」であり、くつろぐ要素として、1人の占めるスペースを大きくする(すし詰めで座ることは滅多にない)という事実があるからだ。3人くらい使う人がいたとして、1~2人が2-3人掛けのソファに横たわり、1人が1人用のソファ+オットマンを、さらに使うならビーズクッションや追加のソファを、というように、分散した形でぼんやりと個人スペースの境界がソファで作られているのが理想になる。なので、家具屋のショールームでのソファ配置でよくあるパターンは、システムソファがL字型になって(ショールームなので大きめの展示になっているのもあるが)8-10人は座れるであろう形状になっていたり、提案される構成も2-3人掛けソファ1つ、1人掛けソファ1つ、などのパターンが多い。さらにテンプレート化するなら、ソファに座った目線の先にテレビ台 + 大型テレビがあり、ソファから手の届くところにサイドテーブルやリビングテーブルが置いてある、というような構成になるだろう。いわば、リビングテーブルやテレビを団欒の中心地として、ソファというリラックスできる椅子を配置した構成が理想形になる。しかし、日本の住宅でそこまで豪華に家具を配置できる家はそう多くはないだろう。そのため、大抵の場合は2-3人掛けのソファ + リビングテーブル + テレビ台を買う、という構成に落ち着きがちになる。しかし、この組み合わせでは、せいぜい2-3人くらいしか休む場所がなく、上記の「団欒とリラックスを実現させる場」としては中途半端になってしまう。私はここが、居心地の良いLDK空間を作る上で、ただ2-3人掛けソファを配置するだけでは空間の居心地向上に寄与しきらないと考え、どのように配置するか、またどのようなソファを買うか、そもそもソファを買うべきなのかなどを悩んだ。

ChatGPTに作ってもらったイメージその2

ちなみに、解決策の一つとしてソファダイニングという手もある。宮脇壇の思想をうまく現代風に昇華したとも言えるし、延べ床面積の小さい現代日本向けの苦肉の策とも言えるだろう。居心地の良いLDKというテーマからすると個人的には大いにアリだったのだが、ダイニングテーブルのところで述べた通りソファダイニングでは丸テーブルを優先事項にすると途端に破綻する(円弧に沿う形状のソファなど、高級レストランのような造作でもしない限り存在しない)。そのため、割と初期段階で諦めた。

さて、ソファを中心とするリビング空間というテーマの中で、考える枠組みからまず外したのは、テレビ台とセンターテーブルだ。そもそもうちはテレビを見ないので、たぶんテレビ台も不要になる(子供向けアニメなどはPCモニターで代用)。そして、センターテーブルはそもそも規模の大きいフルセットソファ空間(画像左の方)では重要な役割を果たすが、大多数の場合は数歩行くだけでダイニングがあり、せいぜい小さなサイドテーブルで事足りる。そのため、この2つは除外した。というより、最初から考えていなかった。

さて次に本命のソファなのだが、ソファは主に座る・寝る(横になる)という動作の受け皿になる。なので、必ずしも一般的なソファでなくとも、休む場所としては成立する。極端な話、ベッドでも良いのだ。昨今ではフルフラットのソファが多数のメーカーから販売されており、フラットソファ + 可動式の背もたれというソファスタイルも珍しくない。なので、背もたれやアームレストのある一般的なソファだけでなく、フラットソファや小上がり畳なども視野に入れて(むしろそれらを順位の高い候補として)、くつろぐ空間を検討することにした。

まず考えたのは小上がり畳である。楽天市場などで売っているようなお手軽なものから、オーダーメイドのものまで価格レンジは広いが、どちらかというと後者寄りで考えた。造作の家具が一番フィットするし、家具を買い替えることは滅多にないのでちゃんとしたものを取り入れたかったからだ。丸テーブルに少し差し掛かけて椅子としての役割も匂わせつつ、程よく腰掛ける・横たわるという居場所を実現させるという点ではかなり候補として順位が高かったが、次の2つがネックだった。まず、どうしても座面はソファほど柔らかくはないこと。ビーズクッションなどを置くことで居心地を良くすることはできるが、硬さ的に居場所が床の延長に過ぎないというのは事実だった。次に、オーダーメイドの価格が高いこと。簡単な内容で見積もり依頼を投げると、50万円くらいで返ってきた。これなら普通に良いソファが買えるので、価格的な優位性はない。妻もその点は難色を示していた。畳の緑色の要素はカラーコーディネート的にもプラスで、上述のように居場所として多用途に使え、そしてある程度のサイズを持たせることで空間に広がりの要素(長い水平面で横方向を強調する)を与えることができる案だったが、ソファを超えてまで優先されるような案ではなさそう、という結論に至った。

また、少し異質ではあると思うが、ベッドを置くことも検討した。セミシングルくらいのサイズ感であれば、大きすぎもせず、腰掛ける場所としても横になる場所としても役に立つ。これならば小上がり畳の難点であった座面の硬さは解消できるが、そもそもLDKにマッチするような外観(見せる外観)のベッドフレームが少ないこと、特にセミシングルは選択肢がほぼないことなどが障壁となり、こちらも諦めた。

リクライナーを置くことも考えたことはあった。カリモク家具のThe Firstというリクライナーを何度か店頭で試したことがあるが、これが大変良いもので、今でも家にいつか置きたいなぁと思っている。しかし、リクライナーは占めるスペースに対して利用可能な人数が極端に少なく、2脚置く場所があれば3人掛けソファ + 1人掛けリビングチェア/ソファが置けてしまう。そのため、こちらも見送りになった。

さて、寄り道から戻ってソファの話になる。どこかのブログ?か何かで見たのだが、「ソファは新築における夢・憧れ」という内容を誰かが言ったらしい。実際、機能主義的な観点では上述の小上がり畳やベンチ、ビーズクッションなどの方がソファよりも優れていると私は思うが、「大きいソファで家族が集まる」「近い距離で寝転がったり、座ったりする」という要素は確かに、豊かな家庭像として肯定せざるを得ない。

ソファを巡る旅はダイニングテーブル・チェアと同様、飛騨産業・カンディハウス・マスターウォール・Hirashima・ACTUSなどが舞台となった(家族で行ったところ。個人としては他にBoConceptやRitzwellなどにも行った)。結果的に、一番最初に見た飛騨産業のソファ(SEOTOソファ)が最もしっくりきたので、それに決まった。座面の反発具合や腰・背もたれの当たり具合、背もたれの角度、フレームの見た目や座面の高さ、全体的な外観などを総合的に見た結果である。実は、マスターウォールのLazy DanishやDanish Freeソファは間取りや外観的には有力な選択肢だったのだが、クッションの具合が飛騨産業のものに及ばなかった。いくつかの店舗に在庫・展示確認のメールを飛ばしたりいろいろ問い合わせたのが少し申し訳ないと思っている。

余談だが、うちの家にマッチする総合点では飛騨産業のSEOTOソファだったが、座り心地・居心地だけに絞れば、カンディハウスのクォードソファが最高だった。価格もなかなかのもので、3人掛けソファでも70-80万円、シェーズロングをはじめとしたシステムソファにすれば簡単に100万円を超えてくる。かなり大きな家・リビングならあのソファは輝くだろう。ぜひお金をかけても良いと思う人がいれば、あのソファを導入してほしい。家具オタクになりつつある私が自信を持ってお勧めする。

結果的に一般的な3人掛けソファに落ち着いたわけだが、上記の「団欒とリラックスを実現する場」を実現させるための工夫として、どのようなことを考えたかも書いておく。中心的な考え方は、以下の記事にあるように「LDKに中心を作る」だ。

escnel.com

3人掛けソファ+1人掛けソファいくつか+リビングテーブル+テレビ台といった「フルセット」のソファシステムは、リビングテーブルをゆるやかな中心として空間を方向づける(上記のChatGPTにつくらせた画像も参考にしてほしい)。「フルセット」のソファ空間がない場合に、中心をどこに持っていくかは間取りや設置する家具によって異なるだろう。我々の家の場合は、宮脇檀の思想も踏まえつつ、ダイニングテーブルをLDKの中心として据えることになった。キッチンもリビング(ソファ)もダイニングテーブルの方向を向いており、ダイニングは丸テーブルの形状で中心を視覚的に理解させるようにする。また、ダイニングの中心にペンダントライトがくるように設置すれば、さらに中心「感」が増す。このような工夫、というよりは先人たちの知恵を組み合わせることで、家具配置の方向性が決まった。

その上で、ソファでの居心地を高めるために、いくつか配慮したことがある。

  1. ソファは背面を壁付けにして、背後からの視線がないことを確定させること。
    • これは私自身、いわゆる社長室スタイルのデスク設置(壁を背にしてオフィスチェアを設置)をすることで、非常に快適に在宅勤務ができていたという経験も踏まえている。
  2. ソファで横になったときに照明からの直接光が目に入らないようにすること。
    • 実家ではソファで寝転がるとどこかしら(一応、実家でも多灯分散照明をしていた)から照明の直接光が目に入り、快適に休めなかった経験がある。今回の場合、小上がり畳やソファなどの家具は照明計画時点では未確定だったものの、「この辺に寝転がって休むスペースを作る」ということは確定させていたので、そこの直上にはライトを置かない・ダウンライトは全てグレアレス・ソフトグレアにする・間接光中心でライティングを行う、という計画で、直接光を回避することを実現させた。

また、サイド(ソファ横の通路)からの視線をカットする、リビングテーブルの代わりに小物類(本やスマホなど)を置く場所・充電する場所を作る(ケーブルマネジメントも配慮する)、ということも考えた。後者は実現したものの、前者はまだ不要と判断して実現させていない。そのうち必要性を感じたら、大型の観葉植物や格子スクリーンなどを設置して視線カットを考えるかもしれない。

収納家具

正直書くのが疲れてきた。というかダイニングチェアとソファの文章量が多くて自分でもドン引きしている。多分このセクションで最後のはず。

ダイニングチェア・テーブル、ソファまで紹介したところで、普通であればテレビ台、という流れになるが、ソファのセクションでも言及した通り、テレビ台は見送ることにしている。そもそもうちにテレビはない。しかし、以下のようなものを収納するスペースはLDKに配置したいと考えていた。

  • HomePodなどのスピーカー
  • Wi-Fiルーター
  • (主に子供にアンパンマンを見せる用の)モニター
  • 個人のバッグ・小物入れ

特にバッグ・小物入れについては、外出時・帰宅時のものの整理を円滑にするために必須と考えていた。施主によってはファミリーロッカーなどを玄関・洗面などに設けてこれを実現している例もある。

検索すると色々出てくる

片付けが好きになるファミリーロッカーのあるお家 | LivingD | リビングディー第一建設

しかし、家族それぞれに小さな引き出し1つ+カバンスペースくらいであれば、玄関や洗面に専用のスペースを設けるほどでもなく、既製品の収納家具でも十分に人数分をまかなえると踏んで、収納家具の要件として盛り込んだ。

さて、収納家具自体はさまざまな構造のものがある。グリッド型のもの、棚型のもの、引き出し型のものなど。グリッド型は1人1~2箇所の割り当てがしやすい反面、グリッドによってサイズ制約が発生するので、たとえばランドセルが入らない、などの問題が起こる可能性も否定できない。最初は以下のルドルフシェルフなどは良い候補だなと思っていたが、サイズ制約が裏目に出る(ランドセルやバッグが置けないので結局床に置かれる、など)可能性を否定できず、諦めることになった。

【公式 関家具】 ルドルフ シェルフ |家具・インテリア通販の関家具【公式】

 

サイズ制約を気にしなくて済む収納家具は主に棚型である。特にオープンシェルフなどの開放度の高い形状は、多少バッグなどが棚から飛び出て置かれていても見た目的に違和感はない(サイズ制約が多少緩められる)し、ケーブルマネジメントなどの観点でも好都合である。元々、ファミリーロッカー的なものが欲しいと思った理由自体も、二人暮らしの時に(今も持っているが)オープンシェルフをリビングに設置して、カバンや化粧品など、個人の荷物をポンポン置ける場所として機能させていて、それがとても便利だと考えたからである。

しかし、オープンシェルフをLDKに溶け込ませることまで考えると、意外と難しい。なぜなら、収納しているものが全て見えてしまうので、容易に「ぐちゃ・・・」っと感が出てしまい、LDKの落ち着いた家具との調和性が下がってしまうという大きな問題点がある。さらに、オープンシェルフは段数が4段程度、高さが120cm~140cm程度のものが主流で、縦方向に存在感がある。水平ラインを強調しつつ、高さを抑える(特に、ダイニング周りがやや低めなので全般的に高さは抑えたい)という全体のテーマを考えると、この構造はいただけない。

となると、オープンでない棚型で、かつ高さが90cm以下、というのが大まかな条件として加わる。90cmというのはキッチンの高さが90cmであり、横幅が大きい家具の高さを規制するラインとして合理的だからだ。ちなみに、かつて祖母に「家具は100cmを超えないようにすると圧迫感が少ない」なんて話をされたこともあった。だいぶ昔の話ではあるが、家具を選ぶ場面になると頷ける。

ではどんな家具が候補かというと、ほぼほぼ選択肢はなくて、飛騨産業のSEOTO-EXキャビネットを指名買いとなった。他の候補としてカンディハウスのセレクトファーニチャーシリーズやRitzwellのJabara Sideboardがあったが、前者は流石に予算オーバーだったので諦めた(ざっくり見積もりで100万円を超えた)。後者については、脚部が細すぎてインダストリアル的な要素が出てしまうこと、引き出し部分の革素材がラグジュアリー寄りで、どちらも曲線や木の温かみを中心とする空間には合わないと判断した。

飛騨産業 SEOTO-EXキャビネット

SEOTO-EX キャビネット | 飛騨産業株式会社【公式】 | 飛騨の家具、国産家具

このキャビネットは、RitzwellのJabaraと同様に、全面の巻き込み戸が特徴だ。開閉によって内部の棚部分を隠したり見せたりすることができる。また、内部に引き出しがついているのも加点ポイントである。購入してみて分かったのだが、内部の可動棚のダボがネジ式になっており、ダボが外れないように工夫がされている。小さいながら安価な家具との違いを感じた。巻き込み戸にも無垢材が使われており、近くで見ると微妙な模様の異なりが、遠くから見ると色のグラデーションが美しく、抑制された高級感を楽しむことができる。

増やすかもしれない家具

以上で、LDK空間における家具の旅の話は終わりである。しかし、将来的にはこういう家具もありかな、と思うものもいくつかあるので、それを紹介したい。

  • SEOTO-EX AVキャビネット
    • テレビ台。正直子供が大きくなったらテレビを買うよりiPad Pro 12.9inch中古を渡す方がいいような気がするが、子供時代に画面を近くで見ることによる視力の悪化は私自身だいぶ経験したので、テレビをおくのもありなのかとも思う。今はどうなるのかわからない
  • SEOTO スツール
    • ソファ用のスツール。ソファで足を伸ばすだけでなく、来客時の補助椅子としても活躍できると思っている。とはいえ、これ単体を使って寝転ぶことはできないので、床に無印のビーズクッションを置くのでもいいんじゃないかと思ったりする。
  • 何らかのサイドテーブル
    • 実は、ソファ横にボックス収納をいくつか置いてスマホ等の充電場所・Switch/カメラ置き場などにしているのだが、ソファ本体のアームレストと比較するとボックスの手触りが異なりすぎる上、安物ゆえの面取りのなさが手をぶつけた時に痛い思いをさせることがある。それらを解消したいのだが、なかなかいい感じのものが見つからない。
  • WING LUX リビング アームチェアー
    • ダイニングチェアと同じシリーズであるWING LUXのリビングチェア版。店頭で試した時に素晴らしい快適さだったので、うちにも置きたい。・・・が、場所がないのとやっぱりビーズクッションで良くね?という事実。
  • カリモク The First
    • 憧れはある。場所はない。マジで座り心地がいいリクライナーなので余裕のある人はぜひ買ってください。

余談1:良い家具を求める源泉

テレビ朝日系列の『大改造!! 劇的ビフォーアフター』をかつて実家でよくみていたのだが、その番組の、確か浅草かどこかの東京の下町の回だったと思うが、素敵な家具をそのままリフォーム後に配置しているシーンをよく覚えている。玄関框が元の家にあった一枚板のものを引き継いでいたり、ヴィンテージの領域に入った和家具が新品の床材の上に配置されていたりと、映像を通してでも伝わる何ともいえない良さがあった。それをみてから、素敵な家具というのはおそらく価値があるのだろうな、と思い始めたのかもしれない。

余談2:家具の定義

ダイニングテーブルやソファなど、種別で「これが家具です」というよりも、もう少し視野を広げて【身体が直に触れる、家の構成物】を家具として考えるのもいい。これは、上記の住友林業の設計士の「毎日触れるものは大事ですよ」という言葉や、以下の朝日ウッドテックのコラムページなどにも現れている。うちの場合は、床材や手すりなどにもこだわったが、これも日々良さを享受している。

www.woodtec.co.jp

笑顔KPI

アリストテレスは幸福こそ人が目指すべきもの、と主張したらしい。数々の哲学者や宗教も、この主張の影響を受けるにせよそうでないにせよ、大まかに人生の最高善は幸福であること、という定義づけをしている。そして、幸福に生きるためには利他的に振る舞え、施しをせよ、という主張も、これまた宗教やら経営者やらがしばしば説くことである。

 

愛だとか幸福だとかの単語は抽象的で、今ひとつ実感として飲み込みにくい。年収だとか居住地だとか、人は他人と比較可能なラベルに一喜一憂して、不毛とも思える妬み僻みやら言い争いをすることは絶えないが、なんとなくこれらを極めていっても、少なくとも幸福という概念に直結はしなさそうというのは感覚的に分かる。

 

最近、この愛だとか幸福だとかが、少しずつ自分の中で腹落ちしたり言語化したりしてきたのかな、と思う。愛や幸福そのものはわからないが、幸せにつながるものは何かと聞かれたら、今の私は「自分や周りの人が笑顔であること」と定義したい。感覚的なものだが幸せとは過去のものであり、過去の"幸せだった"瞬間が積み重なったものを振り返るとき、人は幸せを感じると思っている。

 

その刹那的なシーンを思い返すと、ほとんどの場合、家族といて何か他愛も無い話で盛り上がっていたり、友人とゲームや外出をしていたり、素敵な場所で食事を共にしたり、というように、程度こそ様々だが自分を含めて笑顔があったのではないか、という推測が立つ。笑顔を無理矢理でも作ると脳が心地よい状態と錯覚する、なんて眉唾物な話もあるが、少なくとも笑顔はシーンを幸せなものとして形成するための必要条件と感じられてくるのは事実だ。(ただ、それは私が衣食住が満ち足りているから、というこれまた"幸せ"な状況にあるからと言われたらそれは否定できない。)

 

このように考えるとやるべきことや道筋はひどく明らかで、自分の長くはない人生で幸せを最大目標とするならば、些細な生き方・生活の仕方の違いに捉われず、笑顔をより多くすることをKPIとして行動すればいいのではないだろうか。自分の行動で直接的、または間接的に他人を笑顔にできたら、そして自分自身も笑顔になれるような心がけや習慣ができればベストであり、それが難しくても、少なくとも自分の言動や行動で何らかプラスになるようであれば、それはそのまま幸せへの道につながっているようにも思える。

 

具体的な行動例で言えば非常に小さなもので、イライラしない、顔を上げる(下を向く癖をつけない、青空を視界に入れる)、感謝や賞賛をストレートに恥ずかしがらず伝える、ポジティブに話す、といったシンプルなものなのかなと思う。大層なことをしても一発で大きな幸せを掴るようには人生はできていないようだし、コツコツとした積み重ねがフィードバック的に、そして複利的に幸せポイントを増やしていく近道なのだろう。

 

小学校から幾度となく教えられるような上記の行動例も、大人になってみると実践は非常に難しいことがわかる。謎に10代のままの感性が残っていたり、変なプライドが出たり、その日の不調で気持ちが沈みそうだったり、建前としての表情と本音としての心情の分別がつきづらかったり。これらをうまく取り除いたりマネージメントすることこそ、大人らしさというものなのではないだろうか。

 

幸せではなく不幸せから身を守るテクニカルなTipsとして、イライラするようなものから遠かったり、問題と思えるような事柄をより大きく広い目線で捉え直したりといった思考面での方法や、深呼吸をして体の調子を整えたり、夜は電気を暗めにして温かいものを飲んだりといった身体面での方法もあるだろう。このような不快要素からの逃避は重要だし実践すべきだが、あくまで笑顔KPIを増やすための基礎・土台として重要なのであって、(自分・他人あわせた)笑顔数というKPIを向上させるのに直接役立つわけではないというのは認識しておきたい事柄だ。

 

日常の笑顔という側面を少し離れ、もう少し中長期的なタイムスケールでのKPIへのコミットを考えてみる。すると、いわば投資的な行動の必要性も見えてくるだろう。具体的には、結婚・出産(パートナーと共に生きる、家族と共に生きる)、親族付き合い(自分のルーツを知る、親族の話を聞いておく)、家の購入(暮らしやすい環境を手にいれる、換金性の高い資産を手にいれる)、趣味などの家庭・職場以外でのコミュニティ確保など、行動してすぐに直接的な利益が出てくることは多くなかったり、金銭的または心理的なコストが大きいものだったりする行動だ。なお、貯金や資産形成はKPIを増やすものの、影響がせいぜい自分止まりになりがちで、他人も含めた笑顔KPI観点での投資的な行動とは言いづらい。

 

人はある程度中長期的な将来も見据えて行動を取る必要がある。というよりも、上記のような投資的行動は、日常の笑顔と比較すると即効性はないものの、長いスパンで見るとKPIへの影響が1桁、2桁、下手すると3~5桁のレベルで異なってくる。であれば、幸せという目標を達成するためには、KPIを増やすための投資行動は合理的なはずだろう。

余談だが、子どもが生まれると(少なくとも数年は)親族や家族、そして自分の笑顔は如実に増えるので、笑顔KPIでみると明らかにプラスと言える行動になる。もちろんさまざまな意思決定や合意・ケアなどが必要ではあるが。

 

これは非常にニッチな例だが、著名人や大富豪が(趣味の一環として)美術館などを建てるなどの、いわゆるメセナ的行動をすることもある。これも、運営するための雇用を生む・来館する人の興味を喚起させる・関連する美術館や学術分野がわずかでも盛り上がる、といった観点では、他人に少なくともプラスの影響を与えている。影響を受ける人たちが笑顔にまでなるかどうかは分からないが(大人は笑顔閾値の高い悲しい生き物である)、その人たちの気持ちをいくぶんかプラス方向に持っていくことはできるだろう。そういう意味で、広義の笑顔KPIへのコミットなのかもしれない。

 

笑顔KPIを高めるために、打算的でありすぎる必要はないと思っている。むしろ、目指すべきは孔子の『七十にして矩を踰えず(70歳になって、思うままに行動しても人の道を外さなくなった)』という状態だろう。孔子風にいうなら、打算的なことを考えず、自分のやりたいように物事をやっても、自然と笑顔KPIを満たせるようになった、という感じだろうか。

 

私は中島みゆきの楽曲が好きだが、その中でも特に『愛だけを残せ』という曲が気に入っている。よくよく考えると、この曲も本質的なメッセージは上記のような、自分の周りの笑顔を増やせ、というものなのかもしれない。結局のところ人が他人に残したり与えたりすることができるのは、ひとまとめにすると『愛』というか。実際物欲など私利私欲から逃れるのは難しいものでもあるが、自分の時間、資産、体力、ノウハウなどといった限られたリソースのうち、少しくらいは愛として施しをする・他人の笑顔を引き出せるような行動をする、というのに割り当てるのも、悪いことでもないと思う。例の曲に倣うなら、それこそが、自分という存在の証になるのだから。

家づくりの振り返り・追記

先日、家づくりの振り返りをまとめた。土地選定やら住宅ローンやら建物・外構のあれこれまでいろいろなことを書いたが、その他にもいくつか残しておきたい内容があるなと思い、書くことにした。内容はだいぶ乱雑なので、興味ある人だけ読み流してほしい。また、冬の話をメインで書いているので、そこも認識していただければ。

 

高断熱高気密の話

おそらく、ここ最近はずっと高断熱高気密というフレーズが戸建てでは1つのテーマになっていると思う。外気との断熱性を高めることで暑い・寒いの根源たる熱の流出入を減らし、気密性を高めることで熱の流出入のさらなる削減と計画換気の再現性を高め、より空調・換気が機能しやすくなる、というのが大まかな私の高断熱高気密の理解だ。ここで大事なのは、あくまで断熱性能や気密性は空調や換気の効果を高めるための土台に過ぎない、ということだと思う。インターネット上ではあたかも高断熱高気密であればエアコンいらず、なんて意味不明な主張もあるが、エアコン要らずではなく、エアコンのスペックが高くなくて良い、というのが妥当なところだろう。具体的には、ある程度の断熱性能があれば、6畳エアコンで30坪(100平米)の面積は賄える、という話もある。実際、例えばマンションのエアコンは効きすぎる、なんてケースもあるだろうが、これはスペック上の畳数と実際の効く面積で考えると、後者の方がはるかに大きいことに原因がある。エアコンのカタログ上のスペックの話はChatGPTなりインターネット記事なりに譲るとして、高断熱高気密というのは、エアコンの効率が高まるのでせいぜい光熱費が安い・(場合によっては)暖房の時期が遅くて良い、くらいが関の山である。

ちなみに、高断熱高気密の最低ラインは断熱等級6程度だと私は思っている。ChatGPTに聞いた限りではタワマン含むマンションでの平均的な断熱等級は4~6程度らしい。マンションといえども、最新の高断熱高気密のラインには達しないようで意外だった。

快適さに直結するキーポイント

我々の家は設計上は断熱等級7であり、積極的な日射取得および日射遮蔽を意図して設計されたが、上記の通りこれらはあくまで光熱費が下がるくらいのメリットしかない。私としては、室温に関する快適さのファクターは、断熱性能とは少しだけ違う部分にあると思っている。それが、以下の2つである。

  1. 窓の断熱性能が高いこと
  2. 家全体で温度ムラがないこと
  3. (冬の場合)足元が冷たくないこと

1については少し上記の内容と矛盾するようだが、窓の断熱性能は居心地を決める上で決定的なものだと思う。冬の今ならわかりやすいが、断熱性能の低い窓の周辺は空気が冷たかったり、結露していたりする。加湿器を稼働させると十分に換気していても窓サッシが結露してびしょびしょになっている家もあるんじゃないだろうか(私が今住んでいるマンションも同様)。窓の断熱性能が低いと、窓周辺が寒い・窓周辺の床が冷えやすい、などの影響があり、結果的に2, 3も満たせず、仮に家トータルで見た断熱性能が高かったとしても、体感の面で全てが台無しになる。

2については、ドアで仕切った間取りに多い話で、LDKは暖房が効いていて温かいのに、廊下や洗面といったリビングドアより先の部分はせいぜい電気ヒーターのような局所暖房のみで、冷え切っている、というのがよくあるパターンだ。ドアで仕切られて暖房・冷房がしっかり効いている場所とそうでない場所があり、それらを行き来する必要があると、家の中での快適度は下がらざるを得ない。意外な話でリビングドアを開放してもそこまで電気代は変わらないので、より快適な生活のためにもぜひ試してみてほしい。逆に言えば、断熱性能がそこまで高くなくとも、大きな吹き抜けやドアを減らした間取りにすれば、エアコンをしっかり稼働させることで家全体の温度ムラを少なくして快適にできる、ということでもある(積水ハウスなどの人がよくやっているイメージ)。

また、第3種換気で熱交換がない場合や、上記の断熱性能の低い窓の場合も、冬に換気口や窓の周辺に寒さをもたらし、温度ムラを作る原因にもなる。寒いからと第3種換気の換気口を閉じる人も多いだろうが、適切な換気ができず二酸化炭素が増えて頭が痛くなったりとか、カビが生えやすくなったりとかの悪影響もあるので、第3種換気である以上ある程度諦めるしかない部分もある。注文住宅の場合はエアコンの近くにするとか第1種換気を選択するなどの対処ができる。

3について。当たり前ではあるが、人体が家に直接触れるのは、ほとんどの場合床だけである。人の体感気温は、直接触れている部分が結構な割合を占めるらしい(言われればそれはそうか、という話でもある)。そのため、床が冷たくないだけで、冬の快適性はかなり上がる。これは私も床暖房で体験したことだし、もっと普及している内容で言えば、冬だけはソックスやスリッパを履く、というのもあるだろう。

これまた話が逸れるが、床材は重視した方がいい、とさまざまな建築関係者は言っている。上記の通り、家で直接触れる部材のうち、かなりの比率を床が占めているからである。空間の見た目もだいぶ変わるのも事実である。

住友林業と一条工務店の家の過ごし方の違い

いろいろな情報を目にしたり展示場に行ったりして得た結論は、住友林業(その他デザイン重視系HMも)の家はモノを増やして暮らしを楽しむ、一条工務店(その他性能重視・設備重視系)の家は建物に任せてモノを減らす、というのが住まい方になるのかな、というところである。

私が一条工務店の家にして期待しているところは、モノが減ることである。床が冷たくないからソックスやスリッパが不要になるし、家全体の温度が均一でどこでも寒さを感じないからこそ厚めの部屋着が不要になる。他のオーナーの話では、毛布を処分した、なんてのもある。要は、家の性能によって快適性が担保されるからこそ、日用品での断熱性能のカバーが不要になる、というのがこのHMの家の住まい方になるのだろう、と思う。

私自身、さまざまな趣味をしたり料理をしたりする中で、袖が邪魔にならないので常に半袖がいいなと思うし、冬にしか使わない毛布が不要になるなら収納も余裕ができて素晴らしいと思っている。冬物は嵩張るので収納を圧迫する上、毛布や洋服は毛量も多い以上、ホコリが増えたり洗濯が大変になったりするという面倒がある。これらを全て家というハードに一任できるのは、中長期的にみて相当な手間やコストの削減になる。他にも、ヒートショックの低減や厚着しすぎによる肌トラブルなども避けられるというメリットがあるだろう。冬の乾燥は仕方がないので加湿器をつけるしかないが、寒さによる生活面のマイナスをかなり帳消しにしてくれるのは、ありがたいことこの上ない。

一方で、日用品にこそ暮らしという人間の営みの良さを見出す人もいる。肌触りの良い温かくて軽い部屋着、床の冷たさをカバーできる品の良いカーペット、温かい紅茶やコーヒーを飲むためのお気に入りのカップなど、温室のような家ではできない日用品の贅沢ができるのが「高性能・高設備すぎない」家なのだと思う。日用品の贅沢をするなら、家に求められる要件は性能やら設備よりも、内装の質感や全体的な意匠性の高さだろう。ちょうど高断熱高気密が空調・換気の下支えになるように、家のデザイン性の高さが細々とした日用品の質の高さを引き立てる役割を持つわけだ。

その他にも、デザイン性だけでなく季節に抗わない暮らし方、というのもこれらの家の在り方として特徴的だと思う。具体的には、長い軒による日射遮蔽や天窓を使った湿気の放出、暑い夏こそサラッとベタつかない無垢床などがすぐに思いつく。家と良い日用品で季節をしなやかに受け止め、時にいなしながら生活を楽しむのも、これまた贅沢なことだろう。ただ一方で、事実としてこういった家はある程度健康な人が暮らすことを前提としているようにも思う。

私としてはデザインを重視する家のあり方も一理あるな、とは思いつつ、そこまで日用品での贅沢はできない金銭的な制約だったり、冬でも半袖で身軽かつ快適でありたい、そして家族全員が健康でありたいという気持ちがあるので、このような選択肢は取らなかった。何かの間違いでめちゃくちゃお金に余裕ができたら、薪ストーブのあるロッジ的な家を建てて、質の高い日用品に囲まれて家族や友人とゆっくりしたいな、と思い描いてはいる。

家の設備をどこまで高クオリティにするか

即湯器やら床暖房やらただいま手洗いやら太陽光システムやら、現代の戸建ては採用できる設備の幅が非常に広い。一方で、設備を高いグレードにすればするほど、固定資産税の上昇や故障トラブルの頻度の多さなどのデメリットもあるので、設備の恩恵をどの程度受けるか、そしてそのデメリットをどの程度許容するかのトレードオフがある。我々が採用した設備系は主に標準でついてくる床暖房、食洗機、第1種換気システム、エコキュートや、標準外のものとして太陽光発電システムなどがある。これらはもちろん壊れうるものだが、換気システムとエコキュートさえ生きていればあとは最悪なくても良いという割り切りもどこかある。というのも、食洗機もなければないで食器を洗えば良いだけだし、床暖房もエアコンという代替はある(これはおそらく壊れたら修理するだろうが)。太陽光発電システムはあくまで(特に災害時の)生活防衛手段という立ち位置なので、あれば嬉しい程度ではある。

逃れられないメンテナンス

マンションなどでも修繕積立金が足りない問題が出ているという話もあるが、戸建てももちろんメンテナンスには費用がかかる。しかし、我々の場合少なくともバルコニーはないので、そこのメンテコストは減らせたのではないだろうか。また、玄関アプローチや外壁をタイルにしたり、陸屋根を不採用にしたりと、小さいところを積み重ねてメンテの手間やコストを少しずつ意識した。上記の設備系のメンテコストは仕方ないものの、水回り・電気系などを除けば、躯体に関わる部分は屋根のルーフィング材くらいなのでは、とも思っている。

メンテの手間があっても見た目にこだわる、という考え方もなくはないが、私としては家そのものの住みやすさの要素の一つに、メンテの少なさもあるのではないかと思う。

その他

だいぶ書くのも面倒になってきたので、あとは箇条書きで。

  • 住友林業で家を検討していた時、出てきた図面の窓の多さ(大開口っぷり)はすごかった。まるで高層マンションのような、LDKの3分の2くらいが窓となっている設計案だった。これはこれで良いと思うが、流石に断熱性能が劣ったり、住宅街の周囲の目が気になったりしていたかもしれない。少なくとも私の土地の周りは住宅ばかりで、だだっ広い畑などが広がっているわけでもないので。
  • 適材適所な収納はとても大切だと思う。経験的に奥行き90cm以上の収納を1つ設けるより、奥行き30cm程度の収納を3つ散らして設ける方が、部屋はずっと片付きやすい。

ChatGPTを使って感じたこと

ここ最近ChatGPTを使っていて色々と考えることがあったので、整理したいと思う。

前提

契約

個人はChatGPT Plus, 仕事は会社から配布されているEnterpriseアカウント(Proも使える。多分Pro使い放題)

使っているモデル: 大体は最新。o3 → 5.x Thinking, たまに5.x Pro(Instantは翻訳程度しか使わない)

使い方(仕事)

各種調査、対人コミュニケーション方法の事前相談、クラウド技術・Webアプリケーション等の相談・質問、会議やコラボレーションツール・管理ツールの運用改善相談など。仕事内容はチームの運営(notマネージャー。リーダーくらい? 他組織とのコミュニケーション・調整もよくする)

使い方(家庭)

献立/栄養相談や育児方針相談、新築の家の情報収集 / インテリアコーディネート等の壁打ち、ギター楽曲のコード分析や楽典関連の相談、その他細々とした日常の調べ物など

便利だよ、そりゃ

当然と言えば当然だが、ChatGPTなしでは仕事でも家庭でも情報処理や運営の観点で明らかにマイナスの影響が出る状態にまでなっている。さながら、スマートフォンやクレジットカードがないと現代のショッピングや施設利用が不自由になるように。それだけChatGPT、特にo3以降の有能さは目を見張るものがあり、なんらかの疑問があったらすぐさま、ほどほどに妥当そうな解決手段を一連のテキストとして提供してくれる。

特に、仕事で公式にChatGPTが使えるようになったのは非常に大きい。出社してオフィス内を彷徨いていても、ChatGPTのページを開いて出力テキストを読んでいる人は多く、私のチーム内でも、まずはChatGPTで大まかに調べる・方針を立てる・分からないところをクリアにする、という習慣が根付いている。私個人としても、Web・クラウド技術に関する部分のキャッチアップなどをはじめとして、まず使わない日はないと断言できるほど使っている。案件概要をファイル添付してテキトーに補足事項を音声入力し、nano bananaへの入力プロンプトをChatGPTで生成→nano bananaで出力、出てきた画像をスライドに貼り付けて社内向け資料完成、なんてのは少し前では考えられない。資料作成なども楽になったものである。Geminiの会議書き起こしなど、関連するテキストデータを突っ込めばかなりの精度で案件情報要約もできる。生成AI様様である。

家庭では、特に最近だとインテリアコーディネート(以下、IC)の相談と栄養相談が役に立っている。ICの聞き慣れない単語や概念を説明してもらったり、こんな組み合わせはどうか?この照明とこの床材はどのように影響し合うか?などと質問し、大まかであっても評価をもらう・次のステップを考える際に補助となる関連情報をもらうことで、いちいちネットで調べたりショールームに行く手間を削減してくれる(もちろん、実物を見ることが重要なのはいうまでもない)。栄養相談に関しては、あすけんというアプリ(過去1年以上使っていた)があるが、あれよりもはるかに自由度高く実施できる点で評価している。具体的には、

  • プロジェクトとして作成すれば、普段どのようなものを食べているか、好みはあるか、朝食や間食パターンはどんなものか、などを記憶してくれる
  • 上記の特徴から、使えば使うほど、今日はこれが足りてないからこれを摂ると良い、という提案が"実行可能"なものになる。細かく設定しなくても使っていくだけで家に大体ストックされているもので提案してくれるのは、あすけんとだいぶ違う
  • 画像認識ができるので、食事の写真を撮ってアップロードすれば勝手に大まかな栄養情報を計算してくれる
  • テキストで入力・音声入力できるので、独自レシピでも問題ない
  • 年齢や運動情報も気軽にテキストで入力できる

このようなメリットがある。あすけんなど一般のアプリだと、どう頑張ってもアプリ内をポチポチとタップ&設定していく必要があるが、キーボードまたは音声入力だけで完結するのがUIとして素晴らしい。

ChatGPTの限界

さて本日の主題である。プロンプトで挙動が変わる以上、お前のプロンプトが悪い、という反論もあろうが、人間がChatGPTを使う以上、そしてChatGPTは言語モデルである以上、限界はあるな、というのが所感である。それは

  • あくまでテキストと一般的な画像くらいしか入力手段がない(テキストで伝えづらい内容、例えばギターエフェクトの音色やIC結果の雰囲気伝達、香りや手触りなどの情報はテキスト情報だと限定的な表現にとどまる)
  • ハイコンテクストな情報処理ができない
  • 人の特性やプロジェクトの特徴に合わせた"ラストワンマイル"の工夫はできない(ハウツー系の書籍などに近い)
  • 「ユーザーの質問内容に対する答え」を出しがち

この辺りに集約される。最初の項目は統計的なテキスト処理である以上仕方ない。そもそも人間でも、音色や味、香り、手触りなどの情報は、多くの人が合意できるほどのテキスト表現はできない。しかし、それ以外の部分はかなり痛い部分かと思っている。

まずハイコンテクストな情報処理について。プロジェクト機能やカスタムGPTへのファイル添付など、一定程度の文脈理解を支援する機能はあるものの、それに入力する情報が手元にない、またはデータとして取っていない、というのが多い。また、情報としては存在しても、機械可読性が全くない形式であるパターンも多い。

今質問している内容はどんなプロジェクト背景があるのか? どんな経緯で今入力している質問まで至っており、どんな解決手段が取れるのか? などなど。もちろんこれらもテキストで構成しようとすることはできるが、正直実現は難しい。GeminiやZoom AIコンパニオンの文字起こし + ChatGPTの情報整形などを用いて、テキスト入力を簡易化しようとしても

  • 既存の情報を、「あれ」や「これ」などの略式の言葉を使わずに読み上げる必要がある
  • どこまでが読み上げるのに必要な資料で、どこからそうでないかが不明である

という問題にぶち当たる。2つ目に関しては区別せずぶち込むことも手ではあるが、年季が入ったプロジェクトであればあるほど難易度が高くなる。特に、表面部分は最近まで目まぐるしく変わっているにも関わらず、コンセプトや核となる部分は数年前の散らばった資料やタスク管理ツール上のコメントのまま、などの場合は手痛い問題になる。他にも、ステークホルダーの特性や組織ポリシーの都合など、言語化しづらい・リストアップできない系の情報などは、制約条件として非常に強いものになるにも関わらず、前提インプットに入れにくい形で"空気"のように存在している。

いずれにせよ、人間が継続的に仕事をすると、画面を指差しながら / マウスカーソルで場所を示しながら他人にノウハウを伝えられたり、どの資料を見れば良いか / どの資料はもう必要なくなったかが大まかにわかったり、あの人の言うことは要注意と意識して物事を計画できたりするもので、それはLLMには難しい芸当のようである。(まあそれはそう)

そしてこれが、2つ目の問題である、"ラストワンマイル"の工夫ができないというポイントにそのまま接続する。結局のところ、ある程度具体的な情報を入れたとしても、その質問内容の周辺を取り巻く環境が入力として存在しない以上、ある種の方法論的な提案しかできない。コーディングなどその傾向が薄くなる場合もあるけれども、大体において実際に起こっていることに基づいた微調整は必要になってしまう(それがたとえ料理だとしても)。

なので、私の中のChatGPT像は、"スキルの高い日雇い労働者"または"Dr. タイミー"のようなものになっている。どの分野もかなり専門性が高く、(裏付けは必要だが)大体言っていることは正確な、その場限りの担当者、みたいな理解である。

そのため、場合にもよりけりだが、後述の認知負荷を下げる目的も込みで、私はChatGPTの回答を積極的に斜め読みすることにしている。精度が必要なときはちゃんと読むが、そうでない時は「この長い出力文章の中に1つくらいは役にたつ概念があればいいな」くらいの期待で相対するのが、程よい付き合い方なんじゃないかと思っている。

Apple Watchみたいな感じで、仕事だけでも常に録音させておいて、そのデータやPC上のアクティビティログを半年分とか突っ込めばこの文脈問題も解決するのだろうか? この辺の工夫ができている方にはぜひ教えを請いたい。

質問と問題をリフレーミングする

さて、ChatGPTの限界を感じたポイントの最後の部分の話に移る。それは、「ユーザーの質問内容に対する答えを出しがち」というものである。

一見するとこれはいいんじゃないか?とも思うが、私が言いたいのは以下の有名な画像に象徴されるような、「顧客は自分が必要なものを知らない」問題のことである。

 

コンサル系でも「顧客が必要なのはドリルではなく穴」みたいな言葉があったり、その他似たような話はいくらでもある。ここで重要なのは、ChatGPTに質問するにあたり、その質問が本当に問題を適切に表現しているのか?ということであり、ChatGPTは(多少は柔軟性があるものの)与えられた質問の中でしか回答は出せない。なので、例えばただちょっと余った紙袋で片付ければいいだけの小物類の散らかり問題に、棚の設計やら適切な収納ボックスの選び方ガイドなどをテキスト出力してしまったりする。もしかしたら(無秩序でなければ)散らばっていた方が生活動線上は機能しているかもしれないし、片付けたら片付けたで別の問題が出てくるかもしれない。そのような"問題"に関する周辺状況まで含めたフレーミングや、ストレートな問題解決以外の方法探索がしづらい / コンサル的な深いイシュー定義ができない、発想の転換ができない、と言うのがChatGPTの限界なのではないか、と思っている。

とはいえ、これは半分は質問文章を入力するユーザーの問題でもある。言ってしまえばユーザーがイシュー定義をしっかりやって、周辺の状況もすべて情報提供すれば、それなりに解決手段を出してくれるのもまた事実ではある。とはいえ、上記のハイコンテクストな状況理解の言語化が困難(少なくともコストに見合わない)という問題がある以上、ユーザーがすべて準備を行う、と言うのは無理がある。(というか、そこまで準備ができればChatGPTがなくても深い洞察が得られるので解決手段が自然と出てくるだろう)

 

そこで、このような問題に対し、以下のようなことを私個人としては実践したいと思っている。

  • その問題(疑問)は本当に問題(疑問)であるか?
  • 視点を変えたら問題ではなくなることはないか?
  • 実は並列で複数の問題(疑問)がないか?
  • 質問する自分はどんな心理なのか?

要は、ぽんぽん質問して情報の海に溺れる前に、一旦立ち止まって深呼吸してみよう、ということである。問題やそれに関する質問、質問意図を再考し、フレーミングを見直すことで、無駄なやり取りや補足を減らし、スムーズにChatGPTを使う、というものだ。

特に最後の、質問する自分の心理の把握は重要だと思っている。情報探索をかき立てる8つの動機なども参考になるが、検索エンジンに検索ワードを投げる時と同様、ChatGPTに質問を投げる時、回答によってこうなってほしい(問題解決がしたい、決心したい、など)という心理が裏側に必ずあるはずで、それを先読みすることは、問題をフレーミングするためにも重要な要素であると思っている(ちなみに、背中を押して欲しい系の場合はそのようにプロンプトを投げるといい感じの言葉をくれるので実際決心しやすい。これもまた心理ハックかもしれない)。

最悪なのは、ChatGPTに質問を考えさせてそれに回答して行ったり、ChatGPTに確認にいちいち回答していくことである。過去に痛い目を見たので二度とやりたくない。疲れを知らない機械と言葉遊びをするほど人生は暇でもないので、LLMを使う上では上記のような自らのマネジメントが重要になると思っている(質問の言語化能力が重要なのは大前提である)。

認知負荷

LLMを使っている人なら認知負荷の話は実感していると思うので、割愛気味で書く。要は、瞬時に大量の、ほどほどに意味のあるテキストが生成され、それを継続的に読むことになると、脳が疲れる。この問題に対して、個人レベルでは上記のように問題の再考によって、そもそも質問をしない、1回でできるだけ適切な答えに近づくようにする、といった工夫や、斜め読みと言った自衛によって対応するしかないかな、と思っている。

また、チームで働く際は認知負荷を相手に強要しないと言うのも重要なトピックになると考えている。ただでさえチームでの仕事は、チャットツールをはじめとした情報処理の山があるのに、それに加えてのLLMの負荷を負うのは労働強度として大きすぎる。

なので、小さなことかもしれないが、ハイコンテクストを共有しているからこそ、1行程度に情報をまとめる・行動の選択肢をこちらから提供する・画像情報や音声情報(録画・録音など)を積極的に活用したいと考えている。LLMに聞かなくても良さそうな部分は小さくまとめておいたり、LLMに聞いてまとめた内容をざっくりレベルで共有することで、他の人がLLMの回答を読まなくてもある程度問題ない環境を作る、などは余計な認知リソースを消費しないためにも重要なのではないか、と思い、ささやかなLLMへの抵抗を続けている。

今後やりたいこと

ここまでまとめるととてもシンプルで、LLMの限界っぽいところをそのまま伸ばしていきたいと思っている。これは対LLMの戦略的な動きというより、私個人の興味もだいぶ含んでいる。

  • NVC/ACTといった認知療法や行動療法の基礎知識
  • 対人コミュニケーションの作法や小ネタ、テクニック系
  • 人間のバイアスや忘却能力などの「人間らしさ」の知識
  • 問題のフレーミングスキル・発想の柔軟さ

すでにこれらに関する本を物色したり、読んだりしている。とても楽しい。思えば4つ目の問題定義の話に関しては、大学でも似たようなことを延々とやっていた気がする。人間、状況が変わっても中身はあまり変わらないのを痛感する。

余談

会社ではGeminiもProライセンスがあるのだが、Geminiはどうも嫌いである。サボり癖があって指示を一部無視したり、出力ファイルを分割ビューで見たあと閉じると会話の最新に強制スクロールされたりと、何かとムカつくポイントが多い。研究分野などでは便利と聞いたりするが、よく知らん、というのが本音。

家づくりの振り返り

今日、地鎮祭が行われ、これから我が家の基礎着工が始まる。家づくりもようやくここまで来たなぁという安堵感と、事務手続き・施工チェック・家具選定などをやらないとなという引き締まる気持ちもある。ここまでにさまざまな出来事があったので、振り返っていけたらなと思う。

 

家づくりを始めるまで

妻も私も一戸建て育ちで、結婚前からぼんやりと戸建て志向はあった。今までは社宅が66平米と非常に広く、DINKSライフを支える生活の場として非常に良かったのだが、子どもが生まれるとほぼ同時に社宅の移動(借上社宅への移行)があり、現在45平米の狭小マンションに住んでいる。家賃が安いとはいえ、66平米の空間を前提とした家具類を現在の家に置くとゆとりがなく(引越しにあたって結構処分した)、ベッドを並べるのすら苦労する始末。そこで、どちらかといえば私が見切り発車的に、家を建てようということになった。当時出産後の妻には体力的精神的に色々負担をかけてしまったとは思う。とはいえ、現在の家で生活すればするほど、「来年くらいには今より広い家に住める」という希望が、少なくとも私の中で生活の支えになっていると思う。そのくらい現在の家は狭い(し、周辺環境も良いとは言い難い。立地は良いが)。

土地探し

土地の仲介業者として、住友林業ホームサービスを利用した。担当の方がこの家づくりプロジェクトの中で関わった方々の中でも群を抜いて優秀であり、土地探しや手続きなど、さまざまな場面で活躍していただいた。最初は普通の印象だったが、丁寧な資料提供や土地の売主側の仲介担当者との違いを見るにつけ、優秀なんだなぁという印象がどんどん高まっていった。

 

さて、一般に土地探しは非常に難しい問題で、立地に始まり、土地自体の広さ、建蔽率/容積率、金額、資産価値(将来性)、ハザードマップ、周辺施設、平坦/坂道などアクセスのしやすさ、ゴミ捨て場への距離、その他法的規制など、さまざまな要素が絡み合う中で意思決定が必要な代物である。また、それぞれ条件が違う中で、一点ものの買い物という難しさもある。理想の土地はあっても売りに出されてなければ買うことはできない。なので、大まかに制約条件を考えつつも、ある程度は妥協したり、現地に行って直感で判断したりすることも大事らしい。人によっては土地探しに数年かかる人もいるとか。幸いなことに、我々は土地探しを始めて1週間程度で良さげな土地を見つけ、決定することができた。思ったより高かったけど。

ちなみに家を建てるにあたり、土地にはさまざまなガチャ要素がある。

  • 買ってみたら不法投棄物が埋まってたり
  • (奈良などで顕著だが)遺跡みたいなのが出てきて工事が中断したり
  • 水道/ガスの引き込み管が古く100万円単位の工事が必要になったり
  • 地盤が弱くてこれまた100万円単位の地盤改良が必要になったり
  • 電柱の移動などが必要でまたお金が必要になったり

この辺は事前調査だけではどうにもできない部分なので、ぶっちゃけ祈るしかないところもある。

 

逆に、わかりやすい部分もある

  • 防火/準防火地域で窓サッシや玄関ドア、外壁材などに影響が出る(断熱性能や間取りなどに制約が発生、特に防火窓サッシはコストが上がる)
  • 土地がアホみたいに広く、建物の敷地面積の何倍もあるなどの場合、外構コストがバカみたいに上がる。平屋にして外構コストを下げることもできるが、その場合建物のコストが(基礎や屋根の大きさが増える分)上がる
  • 土地がアホみたいに狭く、建物を建てる際に民法規定での隣地境界との距離(50cm)を下回らざるを得ず、隣地の了承が必要になる。エアコン室外機やエコキュート、給湯器の設置場所に制約が発生する&設置場所が狭い故に機種やメンテコストなどに影響が出る
  • 土地が狭く3階建てになる場合に、構造上の制約(希望間取りが構造上不可など)や消防法などの制約が発生する(高コストの要因)。また道路斜線規制などで間取りにも影響が出る(天空率緩和でうまくいくこともあるが)
  • 都市計画(市街化区域・市街化調整区域)などの影響で、長期優良住宅認定が受けられず、住宅ローン控除の延長恩恵が受けられない。その他、用途地域が住居専用以外で、においや日陰・治安などの、地図上には現れない影響が現れる

私は、「土地が広いと建てられる建物の大きさ上限が上がり、コスト高につながる」と考え、容積率の上限で延べ床面積が100平米程度になるように目安を設定した。振り返るとこれは結構良かったと思う。家としては小さいかもしれないが、そのぶん内装や設備、外構にお金をかけることができた。人間余裕があればあるだけリソースを食い潰してしまうので、土地や建物のサイズは初手で制約を考えておいた方が、後々のコスト的な余裕が生まれやすいと思う。

家のテーマ

指針として大まかに設定しようと考え、「どんな家がいいか」を言語化しようと考えた。広い家、明るい家、暗く落ち着いた家、開放的な家、安全な家、仕掛けがある家、物が飾れる家、遊び回れる家、図書館のような家、庭で遊べる家、趣味を楽しめる家、などなど、言い出せばキリがない。この部分こそ、注文住宅の醍醐味かもしれない。自分たち家族のライフスタイルや趣味嗜好、実家の生活などが色濃く反映される。妻と色々と会話する中で、それぞれの家の共通点や違い、家での出来事など、さまざまな振り返りができた。思えば非常に有意義な時間だった。そんな我々の最終的なテーマは「大切なものと暮らし続けられる家」といったものになった。具体的には、以下のような特徴があるだろう。

  • 思い出の品を飾るスペースがあること
  • 家自体を大切にしたいと思うような外観・内装・家具
  • 日々の生活でストレスが少なくなるような家の性能・設備
  • 立地・建物構造ともに高い安全性

建築請負会社(ハウスメーカー)の選定

建築請負先には一般に以下の選択肢がある。

私としてはハウスメーカーかなと考えていた。なぜなら、他二つの選択肢と異なり、経営リスクが非常に小さく、仮に担当者が退職・事故等で業務不可(最悪の場合死去)などの事態になっても、別の担当者がおり、家がきちんと建つ可能性が高いからである。ちなみに、調べてみると工務店の倒産で建築途中で放り出されてしまう施主も少なからずいるらしい。SNSなどで悲痛な叫びを見るに、ひどい業界だ、と思うこともある。財務データ取り寄せ&チェックなどすれば多少は防げるそうだが。

もちろんハウスメーカーにもコストや工法上の制約などがあったりと融通が効かないこともあるが、上記のリスクと比較すれば大した問題ではないことと、意外とやればいろんなことができる(特に間取りよりも外構が外観に効く)ので、その辺はあまり気にしなかった。施工品質だけは現場にちまちま赴いてチェックをしていきたいとは思う。

 

さて、じゃあどんなハウスメーカーを選んだのか?というと、最終的には一条工務店になった。土地探しの段階ではデザイン面や愛着が持てそうな点で住友林業一択かと思っていたが、2025年時点で想定以上にコストが高く、建てられはするものの最低限のもの(いわゆる"梅"ランク)にならざるを得ないことが見えてきたため、方向転換となった。もともと検討していた時期が冬というのもあり、性能を売りにする一条工務店も筆頭候補ではあったので、順当といえば順当な結果である。

ちなみに、一条工務店でも打ち合わせのフェーズでオプション品の値上げなどがあり、昨今の建築費高騰は想像以上に深刻らしい。インターネット上のブログでは「住友林業なら4000万円!」「積水ハウスなら坪単価100万円!」なんてものもあるが、投稿日時をよくチェックした方がいい。2026年現在これらのハウスメーカーで仕様を我慢せず建てるなら坪200万円程度は普通であるし、金のない顧客は半規格住宅や別のハウスメーカーを勧められたりもすると思う。

私も過去の情報をあてにしていたところがあり、外構込み4500万円くらいで30坪くらいいけるかなーと思っていたが、普通に撃沈が確実視されたので戦略的撤退。住友林業の営業や設計の方には大変お世話になりました。特に設計士の方は名残惜しいところあるが、ない袖は触れないのが悲しいところ。これは感覚値だが、住友林業で希望する内容(第1種換気、無垢床、カップボード、樹脂サッシ、断熱玄関ドア、その他内装オプション)を盛り込んだら、多分建物30坪+外構で5000~6000万円程度は必要だろうと思う。高級ハウスメーカーで性能や内装を盛りたいと考える人はそのくらいは覚悟した方がいい。(なお、坪数が大きくなれば坪単価は下がる。キッチンや窓などのコスト部材の割合が下がるので当然ではある)

住宅ローンの契約

住宅ローンに関してはさまざまな出来事があった。まず我々はペアローンで組んだのだが、どちらも大企業正社員なので普通に審査は通った。なんなら片方だけでも通る額でもある。なので審査通過に関する学びは何もないのだが、キャッシュフローや事務手続きに関しては色々とあった。キャッシュフローは契約金なども含めて色々あるので、次の項で紹介する。

土地を住宅ローンに含める場合

戸建て住宅を建てる際、親族などから土地を融通してもらうこともあるだろうが、それなりの数の人が土地を購入してから建てるだろう。そうなると、土地も住宅ローンに含めたいはず。しかし、土地は建物ではないので、普通の場合は住宅ローンを借りることができない。厳密には、住宅ローンを借りることができるのは建物が完成してからなので、土地だけ買って数ヶ月後に着工して建てる、などは時系列上不可能なのである。そのため、土地付き注文住宅を購入する場合、「融資の分割実行」が可能な銀行に限られ、結果的にメガバンク(三菱、SMBC、みずほ、りそななど)などを選ばざるを得ない。分割実行だと建物完成時だけでなく、土地購入時にもローンを借りることができる(我々の場合は3回まで分割ができた)。

なお、キャッシュフローの項でも説明するが、建築請負会社との契約がないと、分割実行でも土地のローンは出してくれない。住宅を建てるための土地、という名目なので当然ではあるが、これはつまり土地を購入する前に建築請負先を決める必要があるということである。

外構を住宅ローンに含める場合

まず外構とはなんぞや?という人向けに軽く説明すると、外構とは大まかに「建物を作る前の整備(一次外構)」と「建物を作った後の整備・装飾(二次外構)」に分かれる、建物以外のすべての工事を指す。具体的には植栽とか駐車場の土間コンクリートとかコンクリートブロック積んだりとかフェンス建てたりとか。カーポートや物置などもそう。土地と建物ばかりに意識が行きがちだが、家の外観の半分以上は外構が影響するらしい。豪邸なのに玄関までのアプローチが土のまま、なんて家ないでしょ?

そんな外構工事、普通に数百万円する上、昨今の建設費高騰(特にコンクリートや照明等の部材)があるせいで、思った以上に高くなる。我々は500万円くらいかなーと思ったらちょっとはみ出た。そんな大層なことはしていないのに。カーポートとかつけてたら+100~200万円は必要なはず。なのでこれもローンに組み込みたい・・・が、外構も土地と同様、建物じゃないのでローンに組み込めない! (追記: 下記以外にも一部例外もあるらしい)

じゃあこんな大金をどう用意すんねんという話だが、ローンに組み込む手段はある。それは、ハウスメーカー経由で外構業者に発注するという手法だ。後述の提携ローンを利用するとこれが可能になる。なので、上記の土地の話も合わせると、土地付き注文住宅を買う場合、外構費用もローンに入れることが大多数と思われるので、分割実行が可能で、なおかつ建築請負会社と提携している銀行から融資をしてもらうことになる。

なお、もちろん外構費用などは頭金として用意しておいて現金決済という手もあるが、個人的には以下の理由からやらない方が良いと思っている。

  • 家の完成前後は引っ越しやらなんやらで現金が必要。後述の契約金等のキャッシュフローの観点でも、手元現金は残しておきたい
  • 住宅ローンはそもそも低金利であり、住宅ローン控除などもある。そのため、過剰に金利にナイーブになるよりは、与信を無理のない範囲で利用して、そのぶん現金を投資などに回した方が効率が良い(投資戦略は必要だが)

つなぎ融資という概念

今まで「建物が完成してからローンが借りられる(ローン実行される)」と書いてきたが、実は

  1. 銀行側は、建物が完成し、建物登記がされて所有者が施主に切り替わったらローン実行する
  2. 建築請負側は、お金が入金されたら建物登記を実施する

というデッドロック状態になることが有名である。なので、一旦「つなぎ融資」として建物代金を住宅ローンよりは高金利な借金で調達し、2のお金をクリアして、1の条件を満たし、最終的にローン実行されたらつなぎ融資をその実行されたお金で返却する、という流れを取る。

しかし、建物登記には1ヶ月弱かかるので、つなぎ融資の利息で数万円程度は追加費用としてかかってしまう。ここまでは比較的よくある話だが、つなぎ融資は以下の場面でも必要になることがある。

  • 着工時
  • 上棟時(建物が屋根まで完成したタイミング)

なぜならば、建築請負会社としても材料費や人件費などのキャッシュフローの観点から、完成時に一括納金よりも分割で払ってもらったほうが楽だから、着工時、上棟時、完成時の3回に分けて代金を払うようにするのが一般的である(一部大手ハウスメーカーなどは最終1回の場合もある)。なので、これらのタイミングでお金が必要になることがあり、建物が完成していない以上住宅ローンが実行されないことから、つなぎ融資の出番となることがある。上述の完成時の条件と異なり、着工時や上棟時は完成して建物登記までの期間が長くなることから、つなぎ融資の利息が想像以上に高くなることもある。モデルケースとして以下を考えてみよう。

  • 建物金額: 3000万円
  • 着工〜完成まで: 6ヶ月
  • 上棟〜完成まで: 4ヶ月
  • 完成〜登記まで: 1ヶ月

この場合、着工、上棟、完成それぞれのタイミングで1000万円ずつつなぎ融資が必要になる。利率を年2%程度(よくある水準)とすると、

  • 1000万円 * 0.02/年 * 1/2年 = 10万円
  • 1000万円 * 0.02/年 * 1/3年 = 6.7万円
  • 3000万円 * 0.02/年 * 1/12年 = 5万円

なので、およそ20万円程度は支払いが必要になる。余談になるが、上述のような建築途中での工務店倒産があった場合、住宅は完成せず、住宅ローンは実行されず、高金利のつなぎ融資(および増え続ける利息)と建築途中の建物のみが残るという悲惨な事態にもなりうる。完成保証制度や別の建築請負会社を探すなどの代替手段はあるものの、工事がスムーズに進むことは極めて重要なことだと感じられる。

我々は後述する提携ローンを利用したため、つなぎ融資は最低限で済んだ。とは言っても、ゼロにはできなかった。ここは事前調査が少し足りていなかったところで、悔しい部分である。注文住宅を購入される方はぜひ参考にしてほしい。詳しくは提携ローンの項で。

提携ローン

いわゆるハウスメーカーは、大手銀行や一部のネット銀行と提携をしていることが多い。住友林業や一条工務店もそうである。提携ローンと非提携ローンの違いは

  • つなぎ融資が最低限になる
  • ハウスメーカー経由での外構業者への支払いもローンに含められる
  • その他、建物に付属する家電(照明など)やその他費用も一部ローンに含められる(条件による)

というところがメイン。なお、世の中ではつなぎ融資の項目であったデッドロック状態を「銀行と建築請負会社がいい感じに調整して」解消し、登記前にローン実行してくれる、という説明が散見されたが、実感としてはどうもそうではないように感じる。我々の場合、分割実行として

  • ローン1回目実行: (土地購入時)土地+諸費用分の実行
  • ローン2回目実行:(建物着工時)建築請負会社(一条工務店)との契約金の全額実行
  • ローン3回目実行:(完成・登記完了時)外構費用・火災保険等の一条工務店経由の契約金の全額実行

という流れになっている。ここで重要なのは、着工時に建築請負会社との契約分は全額実行してくれるので、上棟や完成時のつなぎ融資は不要である一方、ローン2回目の実行は建物着工中である必要があり、建物着工前に必要な建築総額の1/3はこのローンでは間に合わない。そのため、建物着工前につなぎ融資で着工金を支払い、その後着工したら契約金を全額ローン実行してもらうことで、着工金ぶんのつなぎ融資を返済することになる。つなぎ融資の存在をゼロにすることはできないが、上述のモデルケース(3000万円、2%)で想定するなら

  • 着工前〜着工(ローン実行)まで: 1000万円
  • 1000万円 * 0.02/年 * 1/12年 = 1万円

程度の負担となる。比較するとだいぶ楽なことがわかるだろう。ちなみに、住友林業の場合、想定だが最終1回のみ(着工/上棟金が不要)なので、最初のつなぎ融資すら不要になる。

なお、ローン1回目、2回目については、土地および諸費用や、請負会社との契約金総額を上限として借入金額を減らし、3回目に振り分けることもできる。ただ、つなぎ融資が必要になったり、それぞれのローン実行から効力を発揮する団体信用生命保険の恩恵が小さくなるので、万が一の事態を考えると3回目への振り分けはしないだろう。

支払いの詳細

支払い開始時期については、我々の場合は2パターン選択できた。

  1. 元本据え置きでローン3回目実行までは利息を支払う
  2. ローン実行後、元本含めて返済を始める

以下のケースで説明しよう。なお大雑把に雰囲気だけ掴んでもらうためのもので、計算などはかなり雑なことに注意。

  • ローン1回目: 1月、2000万円
  • ローン2回目: 4月、3000万円
  • ローン3回目: 12月、500万円
  • 利率1%(年間)

パターン1の、元本据え置きの場合。なお、ローン返済(利息含む)は実行月の翌月であることに注意。

  • 2月から4月まで: 2000万円の1%を12分割した、1.7万円を毎月支払う
  • 5月から12月まで: 2000万円+3000万円の1%を12分割した、4.2万円を毎月支払う
  • 翌年1月以降: 全額実行されたので、元本と利息の支払いが始まる(返済年数は1年減るため、毎月の支払額は増える!)

パターン2の場合。なお、35年返済とする

  • 2月から4月まで: 利息に加えて、2000万円を12*35ヶ月で返すため、2000/(12*35) =4.8万円、合わせて6.5万円程度を払う
  • 5月から12月まで: 利息と上記の金額に加えて、3000万円を(12*35-3)ヶ月で返すため、合わせて6.5+7.2=13.7万円程度を払う
  • 翌年1月以降: 利息と上記の金額に加えて、500万円を(12*35-12)ヶ月で返すため、13.7+1.2=14.9万円程度を払う

総支払額は当然パターン2の方が小さいが、ぶっちゃけ誤差みたいなところもある。キャッシュフローも重視して考えたい。我々はパターン2を選んだ。金利、少しの間でいいからあがらないでくれ。

銀行担当者について

家づくりプロジェクトの中でぶっちぎりのゴミが銀行担当者であった。具体的なカスエピソードとして

  • 1ヶ月以上前に説明可能なものを、1日前に全部読んでくださいと言ってくる
  • 小出しで作業依頼をしてくる。別に順序の依存関係や実施日の制約もないのに。
  • Web申込ローンなのにめっちゃ電話してくる。文面に残せ文面に。
  • 説明が要領を得ない。特に上記の支払いの詳細については、私も妻も同じ質問をして、どちらも撃沈した。モデルケースで例え話をして、ようやく上記の説明を引き出せた。
  • メールで証跡を残した契約内容(支払い時期など)が、契約書では違う内容になっている(当然差し戻した)

1回目のローン実行時の手際の悪さにブチギレた私は、2回目以降は徹底的にマイクロマネジメントを行い、電話で都度進捗を報告させるようにした(ひどい時は週4回くらい電話した)。なんだかんだその辺の社畜適性はあるのか、それ以降は案内が非常にスムーズになった。なおこの人、銀行子会社(ローン担当所)の副所長である。タイミーとかの人ではないのか?と疑いたくもなる。

余談として

  • 銀行本体から使えない人材がローン担当の部署に出向・転籍になることが多いらしい
  • ローンは通常1回限りでフィードバックループが回らないため、特に住宅ローンはダメ担当者が多くなりがちらしい

余談

なお、住宅ローンは借り換えなどで新規顧客開拓をすることができるため、いつぞやの時代の携帯電話のMNP合戦と同様、同じところで借り続けるより借り換えていく方が条件が良くなったりするらしい。だがこれも過去の話で、2025年以降の金利上昇局面ではネット銀行等の金利もメガバンクと大差がなくなってきており、なんなら逆ざやで厳しいなんて話もある。なので、ここら辺は専門的な知識を持つ人のSNS発信などに注目した方が良さそう。

また、ネット銀行は融資手数料のほか、事務手数料が高いという話もある。ここら辺も利用される方はしっかり調査するべし。

家づくりにおけるキャッシュフロー

さて、ようやくキャッシュフローの話になる。我々はいわゆるフルローンで、火災保険だけでなく引越し費用、カーテン代などもローンに組み込める(組み込むかどうかの決定はこれから)だが、それなりに現金が必要だった。

まず、キャッシュアウトは

  • 建築請負契約(ハウスメーカーとの契約)時の100万円
  • 土地手付金(売買契約時に手付けとして渡すお金)の土地代金の5%
  • 土地仲介手数料(の半分)
  • ローン2回目、3回目の融資手数料

がある。これだけだと何が何だかよくわからないと思うので、細かい流れの説明をした後にモデルケースで紹介したい。図を作る方が楽そうではあるが、面倒なのでテキストで書く。図が欲しい人は以下の説明を適宜抜き出してChatGPTにでも作図指示して欲しい。

土地付き注文住宅を建てる場合、以下の流れになる。なお、提携ローンで上記のシナリオ(ローン実行2回目で建築請負会社との契約金全額を実行)とする。

  1. 買う土地を決定する
  2. 土地の売主に買う意思を伝える
  3. 建築請負会社と建築請負契約を締結する(ローン実行のためには土地の売買契約の前に行う必要がある)
  4. 仲介業者で、土地の売買契約を行う(この際に、契約手付金を支払う)
  5. 売買契約時に、仲介業者に仲介手数料の半分を支払う(これは仲介業者によって異なる)
  6. 売買契約に設定された引渡日に、住宅ローンが実行される。住宅ローンの実行金額は、土地代金、仲介手数料、登記費用などが含まれる。そのため、このタイミングで契約手付金と仲介手数料の半分が返ってくる
  7. 土地の金額のうち、契約手付金を差し引いた全額を売主に払う。
  8. 引渡時に、仲介業者に仲介手数料の残りの半分を払う(手元現金ではなく、実行された住宅ローンから払える)
  9. 登記費用を支払う
  10. 建物着工時に、建築請負会社の口座へ契約金全額(2回目のローン実行)が、融資手数料込みで支払われる。この際、融資手数料が差し引かれないで実行されるため、手元現金から融資手数料を支払う必要がある。これは、施主の口座を経由せずに直接建築請負会社の口座に支払われるためである。
  11. 建物の登記が完了後、3回目のローンが実行される。このタイミングで、上記と同様に融資手数料が引き落とされる。なお、これも建築請負会社の口座へ支払われる。
  12. 全ての支払いが完了した後、建築請負会社が受け取っていた融資手数料分の合計が、施主へ返金される。また、前払いしていた契約金100万円は建築総額に充当される一方、建築総額が2回目のローン実行で入金されるので、建築請負会社側は100万円分余剰になる。この分も返金される。

初見でこれを完全に理解できる人は少ないと思う。以下の条件で見直してみよう。括弧内は手元現金の変動を表す。

  • 土地代金: 1000万円
  • 建物代金: 2000万円
  • その他費用: 500万円
  • 土地の仲介手数料: 土地金額の5%: 50万円
  • 土地の手付金: 土地金額の5%: 50万円
  • 建築請負会社との契約金: 100万円
  • 融資手数料: 実行金額の2%: (20万円+40万円+10万円)
  • 登記費用: 10万円

では、見直していこう。

  1. 買う土地を決定する(0)
  2. 土地の売主に買う意思を伝える(0)
  3. 建築請負会社と建築請負契約を締結する(-100)
  4. 仲介業者で、土地の売買契約を行う(この際に、契約手付金を支払う)(-150)
  5. 売買契約時に、仲介業者に仲介手数料の半分を支払う(-175)
  6. 売買契約に設定された引渡日に、住宅ローンが実行される。住宅ローンの実行金額は、土地代金、仲介手数料、登記費用などが含まれる。そのため、このタイミングで契約手付金と仲介手数料の半分が返ってくる(+1000+50+50+10-175 = +935)
  7. 土地の金額のうち、契約手付金を差し引いた全額を売主に払う。(-65)
  8. 引渡時に、仲介業者に仲介手数料の残りの半分を払う(手元現金ではなく、実行された住宅ローンから払える)(-65-25 = -90)
  9. 登記費用を支払う(-90-10=-100)
  10. 建物着工時に、建築請負会社の口座へ契約金全額(2回目のローン実行)が、融資手数料込みで支払われる。この際、融資手数料が差し引かれないで実行されるため、手元現金から融資手数料を支払う必要がある。これは、施主の口座を経由せずに直接建築請負会社の口座に支払われるためである。(-140)
  11. 建物の登記が完了後、3回目のローンが実行される。このタイミングで、上記と同様に融資手数料が引き落とされる。なお、これも建築請負会社の口座へ支払われる。(-140-10 = -150)
  12. 全ての支払いが完了した後、建築請負会社が受け取っていた融資手数料分の合計が、施主へ返金される。また、前払いしていた契約金100万円は建築総額に充当される一方、建築総額が2回目のローン実行で入金されるので、建築請負会社側は100万円分余剰になる。この分も返金される。(0)

正直これわかる人少ないんじゃないか。まあ物好きな人、これから家を建てる予定の人は頑張って読み解いてほしい。なお、建築請負契約を結ぶ際は、どのハウスメーカーでも大抵は100万円くらい必要になる。

上記から分かる通り、土地の手付金額にもよるが200万円程度は最低でも手元にないとキャッシュフローは厳しい。我々もかなり厳しい時期があった(育休後だったため、育児休業給付金の給付タイミングと微妙に噛み合わない時期があった)。

間取りや外構の検討

構造・間取り

間取りに関してはとっつきやすい内容で、尚且つインターネット上でも書籍でも、様々な事例や意見などがある。また間取りと内装も深く関連するため、具体的な間取り上の工夫については省略する。我が家の詳細を聞きたい人はご飯食べに行くときにでも聞いてください。

原則レベルの話をすると、私が構造・間取り設定において考えたポイントとしては以下のようなものになる。

  • 屋根のメンテナンス性を上げるため、陸屋根は採用しない。日射遮蔽も考えて、軒を深くする
  • 外に出る習慣がそれほどないので、ウッドデッキやベランダなどは設けない(外構コストやメンテコストも低減!)
  • 窓のラインを揃える
  • 窓の数を絞る(採光条件や換気条件を満たした上で)
  • 適材適所な収納を設ける(収納を遍在(not偏在)させる。ゴミ箱と化す物置みたいな奥行きの深い収納を設けない)
  • 家のサイズを制限する(小さい家にする)
  • 壁面収納をメインとし、通路を減らす
  • 視界を遮るものを減らす
  • 一般的な間取りにする(土地の条件が良いので、2階リビングや2階水まわりなどにする必然性がない。子供部屋は子供の人数も読めないので後で分けるスタイル)
  • 建物の断熱・気密・換気性能が高いため、これを前提とした空調・気流計画を建てる。このため、温度ムラを引き起こす原因となるドアを減らし、必要なドアだけ残す
  • コンセントなどの電気設備は将来性を考慮して数を多くする

結果、多分めっちゃフツーの家になったと思う。一方で細かい部分(棚やキッチン高さ、物を置く場所の配置など)を我々が暮らしやすいようにチューニングしてあったり、メンテしやすい・コストがかかりにくいようにしてある上、装飾や部材へのこだわりなども反映させている(後述)ので、中長期的に満足がいく家になるんじゃないかと期待している。また、サイズをかなり小さくしたので色々豪華にした割にコストがかからなかった。1坪減らすたびに100万円弱コストが減るので、みみっちく小さいオプションやらなんやらを減らすのではなく、サイズを小さくするのがコスト削減に一番効く。

性能面では、一条工務店の高性能な窓や壁、断熱性能アップキャンペーンでついた超高断熱玄関ドアDANNJUなどの恩恵と、窓をうまく絞ったことで、断熱性能では設計UA値0.18となった。これは帯広などの地域でも最高水準に入る断熱性能なので、何も文句がない。強いていうなら冬に日射取得を頑張りすぎると暖房なしで部屋が暑くなる可能性があることくらいか。まことに贅沢な懸念である。

間取りに関して、部屋を区切らない、究極的にはワンルームな家も憧れる部分はあるが、一方で一般的な間取りというのは多くの人に支持されるからこそ一般的なのであり、一般的でないものは一部には支持されるが一部には不評を買うからこそ憧れを生むものだと思っている。色々と考えた結果、やっぱり一般的な間取りは良いものだという考えになった。というのも、一般的な間取りには空間の汎用性がある。例えばピアノルームなど、専用設計した空間は、その意図以外での利用が非常にしづらくなる。もちろんガレージなど多用途に使える場合もあるが、基本的に建築物は簡単・低コストな変更が効かない。なので、住む人間が建物に合わせてライフスタイルを変えたり、外の施設などをうまく利用する方が何かと使いやすい。

一方で、荷物量に応じた収納計画や、身長などに起因する使い勝手、室温や空間の感じ方の差は人それぞれであり、一般的な間取りであってもそこが自分の理想からかけ離れていると、小さなストレスが溜まっていく。そこを細やかにアレンジメントできるのは、注文住宅の良さだろう。一般的な間取りに見えても、適切に微調整が加えられた家はコストに見合うだけの理由があると思っている(これは住んでみてから検証したい)。

 

また小ネタとして、「これがおければ大丈夫」リストを作っておくと、間取り図に具体的な生活イメージを取り入れることができるのでおすすめしたい。リストの中身の一部はこんな感じ: ゴミとして捨てる予定の段ボール、薬箱、はさみ、Wi-Fiルーター、スマホ等の充電器、掃除機を立てるポール、お掃除ロボット、加湿器、子供の服、などなど。

 

ちなみに、一条工務店だと第1種換気システムを採用しているが、建築するための確認申請時には窓開けによる換気を前提として申請しているらしく、機械による換気システムの導入があるからといって窓を減らすのはできないらしい。これは知らなかった。

ついでに知らなかった情報としては、一条工務店の窓表記の(K)は、キッチン及びその直上にある、マスの区切りを無視して設置できる窓のタイプ表記である、ということくらいか。あまりにも細かい知識なのでどうでもいいね。

外構

外構では以下を重視した。

  • 外観を左右する部材(タイル、フェンスなど)はお金をかける
  • メンテナンス性を重視する(天然芝不採用、タイル採用など)
  • 統一感を出す(カラーリング、素材、形状など)
  • ケチらない

住宅の知識を多少なりとも増やしていくと、世の中の住宅を見る目が変わってくる。この家はサイディングだな、とか、植栽が手入れされているな、とか、アプローチの乱形石が綺麗だな、とか。また、建物はしっかりしてるけど、周りはとりあえず砂利を撒きました、みたいな家も見つかったりする。

家づくりに関するインターネット上の情報でも言われていることだが、外構は割と家を代表するものになる。なので、外構の予算は土地選定時(=ローン借入金額設定時)からちゃんと想定して、見た目の印象が良い素材のものやメンテナンス性の良いものを取り入れつつ、必要な設備(階段や駐車場、庇など)を設けられるようにした。これはかなりやって良かったと思う。

また、外構は早くから情報収集や建物との連携を検討する必要がある。何を建物で担い、何を外構で行うか。例えば建物を総タイル張りにするとお金がかかるが、建物を吹きつけ/サイディングにして、外構のコンクリートブロックをタイル張りにすれば、見た目の印象はタイルの良さを享受しつつ、コストを抑えることができる。(つまり、外構検討は建物検討と同じかそれより前からスタートした方が良い)

代替手段の大切さ

残念ながら自分たちの予算や建築請負会社の構法・仕入れ等の制約、法的制約など、さまざまな理由で完全なる理想の家は作ることができない。家づくりは土地から外構までどこをどのように妥協するか、どこに本質を残すかがキーとなる。そこで、単に予算上諦める・建築請負先にダメと言われたから諦める、などで動かないのではなく、何が重要なのか、それはどんな手段なら実現できるかを積極的に創意工夫していくと、総合的に満足度の高い家づくりができると思う。例えば

  • 広い庭つきの土地ではなく、公園が近くにある土地を選ぶ
  • 大きなソファを置くのではなく、階段や小上がり、スツールなどの段差を利用して居場所を作る
  • キッチンスペース(大きな天板、広い通路)を趣味スペースとして使う(空間を兼ねる)
  • インナーガレージを作るのではなく、車用の大きいゲートを設置する
  • リビングスペースを減らし、ウッドデッキなどを接続して外構込みで広い空間にする(視線の抜け確保 + 全体コスト低減)
  • 試着室のような大きな鏡ではなく、縦長の細長い鏡(幅20cm高さ200cm)を設置し、コーディネート全体を見られるようにする

下手すると、趣味用に家で専用の部屋を作るよりも、テキトーなワンルームの部屋を借りた方が安上がりかもしれない。絶対に必要だと思ってた収納が、実はものを整理したら小さくできるかもしれない。要は、何が絶対に手放したくないもので、何がそうでないかを十分に整理する作業が重要になる。これは間取りや外構、内装を考える上でとても重要な考え方になると思う。

私は以下の部分は工夫で乗り切ったと思う。忘れているだけで多分他にもたくさんある。

  • 巾木は、引き渡し後にマスキングテープ等を貼って見栄えを変える
  • 夏季に効力を発揮する窓のアウターシェードは、2階は軒による日射遮蔽、1階はよしずでの日射遮蔽で代替する
  • 床の間は、2階通路突き当たりの壁で代替する

内装テーマ決め・照明・家具探し

内装

家の中の雰囲気を決定づける要素たち。内装のテーマは悩みに悩んだところがあり、夫婦間でも意見の相違が最も大きくなりがちなところである。我々もそうだった。和モダン、インダストリアル、ヴィンテージ、ホテルライク、北欧風、などなど様々な内装テーマがあるが、ひとまずそういった言葉での大まかな定義は、「これにする」ではなく「これにしない」を決める程度にしか役立たない。なので、取り入れたくない要素を可視化・言語化していくと、おおよその方向性は決まってくる。その上で、高品質な家具メーカーの家具やその設置例を見て、こんな内装が良い、というのを決めていくと良いだろう。もちろん、典型的な内装テーマで「これだ!」というものがあれば、それにすると良い。内装テーマが決まってくると、以下のものも決まってくる。

  • 床、壁、天井の色や素材
  • ドアやカーテンなどの色、素材
  • ソファやダイニングセットなどの色、素材
  • キッチンなど大型設備の色
  • 手すりなどの素材
  • 壁の照明スイッチ、コントローラーなどの色、素材感

ここまで読んでわかる通り、内装テーマの決定は間取り検討(請負会社との打ち合わせ)前にある程度方向性を決めておかないといけない(床やキッチンのオプションがあるか、また全体コストにも影響してくる)。外構の話も合わせると、

外構→内装テーマ(外構テーマにも反映)→建物形状→建物間取り

という順番になってくる(多少前後はあるが)。しかし一般には、間取り→内装→外構という順で打ち合わせが進むため、施主は先んじて情報収集や検討を行う必要がある。辛いものである。

照明

内装を引き立て、空間の居心地の良さを決定づけるのが照明計画である。外構と並んでこれまた軽視されがちなジャンルのものだが、間取り以上に重要な項目だったりする。

多灯分散照明だとか光の重心だとかなんだとか色々あるが、考え方として機能的なのはタスクライト・アンビエントライトというものかと思う。要は、部屋全体が等しく明るくある必要はなく、キッチンの手元など、タスクを行う場所はしっかり明るくある必要があり、そうでないところは周りがちゃんと見えればそこまで明るさは必要ない、というものである。

その他、素材感を強調する照射設定だったり照明器具の外観なども重要だが、ぶっちゃけこの辺はテキストで書くよりもYAMAGIWAなどの照明メーカーのショールームに行ったり、DAIKOの照明Pro's wayや各種書籍などを見た方が参考になるはずなので、詳細はそちらに譲りたい。ここまで読んでいる人はかなりの物好きだろう。きっと自分の目で色々見て探してくれるはず。

あ、あと外構の照明も結構大事です。マジ。

 

ちなみに、私はコーブ照明での全体照明やライン照明はあまり好きではない。ぶっちゃけ普通のシーリングライトと大して変わらなくない?という気持ちである。

家具

壁紙や床がどんなにチープでも、家具の品質が高く空間にマッチしていれば、それだけで家のクオリティは高く見える。かの大変お世話になった住友林業の設計士も、「家で一番大事なのは家具ですね」という発言をしていた。内装より家具を重視する姿勢は共感を覚えたものの、設計士としてそれでいいのかというツッコミは内心あった。

さて、高級家具といってもよくわからんという人が大半かと思うので、家具メーカーの探し方を共有する。まず、積水ハウスやヘーベルハウス、住友林業といった大手ハウスメーカーは、「インテリアフェア」というイベントを定期的に開催している。高品質な家具を提供するメーカーの展示会的なもので、ググればイベントチラシなどが出てくる。そこに掲載されている家具メーカーを片っ端から検索し、自分たちのイメージに合うか合わないかなどを検討していくと良いだろう。

また、インテリアショップを徘徊するのも良い。定番たるアクタスや、都内各所のショールームなどもおすすめである。あと、住宅展示場で使われている家具や住宅設備メーカーのショールームにも良さげな家具が置いてあったりするので、それらの情報を聞いておいたりするのも手である。

なお、高級な家具は10万円が1単位である。昨今は値上がりも激しい。家づくりは現金が大量に必要である。厳しい。大まかにダイニングチェアは10~20万円、テーブルは50万円、ソファは30~80万円くらいを想定しておくと良いだろう。金銭感覚が完全にバグる。

ちなみに我々は今まさに家具の購入フェーズである。選定はある程度してあるので、あとは似た選択肢の中から意思決定をするだけなのだが・・・これがなかなか難しい。今はカンディハウスと飛騨産業の一騎討ち状態まで来ている。

注文住宅という最高の贅沢

私がマンション志向の人とは異なる価値観であることを前提とした上で、注文住宅はとても良いぞ、という話をしたい。といっても内容はシンプルで、今まで書いてきたような内容が体験できたり、家づくりに関する様々な知識が習得できたり、土地の契約・請負契約・今日行ったような地鎮祭など、様々なイベントに主体として関われたのは、注文住宅ならではの経験だな、と思う。注文住宅を作っていなかったら、妻ともこんなにはそれぞれの家の話をできなかっただろう。ショールームを巡った経験とか、仕事や育児の合間を縫っての打ち合わせの大変さとか、どれも貴重なものだった(喉元過ぎれば、みたいなものもあろうが)。

建築前から引き渡しまでの過程を楽しむだけでも十分にお金をかけた価値があると思うが、そのかけがえのない過程を注ぎ込んだ家に住むことができる。その家で妻や子どもと一緒に生活をしていくことができる。これ以上に贅沢なこともなかなかないんじゃないだろうか。

 

追記

2026.1.19. ちょっと加筆した。ついでなのでいくつかつらつらと書いておく。

  • 円安やインフレが懸念、というより足元で進行している2026年1月現在、今から振り返るとこのタイミングで円資産を実物資産にできたのはとても良かったのではないかと思う。お金はいくらあっても足りないが、預金残高・保有資産総額の数字ではなく、物理的・体験的なものに変換すること、これもまた投資なのかなと思う。結婚式とか。
  • 外構業者との打ち合わせがこの前あったのだが、「もう予算は当初の1.5倍じゃきかない相場になってますね」というお話をいただいた。我々は滑り込みセーフ?と思いたい

2026.2.1. 少しだけ思うところを別の記事で追記した。

 

以下のサイトは何らかの参考になるかもしれない。なお、これの10倍以上のサイトや、書籍・ショールーム、実地見学などで知識を補強しているので、家づくりされる人はぜひいろんなところに足を運んで・目を通してほしい。

https://note.com/tousikun/m/medbb2579d7a7

https://ki-kobo.jp/blog/4679/

https://note.com/rj_nishiyama/n/nf1d3c7d5afbf

https://www.aoiichijou.com/entry/2024/11/06/%E3%80%90%E4%B8%80%E6%9D%A1%E5%B7%A5%E5%8B%99%E5%BA%97%E3%80%91%E5%85%A5%E5%B1%85%E5%BE%8C%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%AB%EF%BC%817%E5%B9%B4%E7%9B%AE%E3%81%AB%E3%81%A6%E5%A4%9A%E7%99%BA

http://mta.co.jp/archives/colum/%E8%A5%BF%E6%97%A5%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E6%9A%91%E3%81%84

https://fujimonmon.com/a-house-without-a-floor/

https://fujimonmon.com/how-to-think-corridor/

https://fujimonmon.com/indirect-lighting/

https://fujimonmon.com/how-to-think-position/

https://fujimonmon.com/a-room-in-a-neighbors-house/

https://fujimonmon.com/ideal-floor-plan/

https://fujimonmon.com/floor-plan/

https://furukawa-arch.com/2023/04/06/14817/

https://www.m-athome.co.jp/movie/manzoku_up_item

https://yotubanoclover.muragon.com/entry/1405.html

https://www.forest.ac.jp/academy-archives/bioeco16/

https://www.m-athome.co.jp/movie/genkan_benri_point

https://www.m-athome.co.jp/movie/kataduku_ie_sanitary

https://www.forest.ac.jp/academy-archives/bioeco13/

 

娘1歳の誕生日に寄せて

娘が1歳になりました。特に大きなトラブルもなくやって来れた、というのは非常に喜ぶべきことかなと思いつつ、何もないとそれが当たり前のものとして享受してしまうところもあります。

 

育児はもちろん大変ですが、子どもというのは様々な彩りを生活や人生にもたらしてくれるな、というのがこの1年の結論です。子どもに笑顔を向けられるのは、シンプルに気持ちが(少しは)明るくなりますし、行く先々で赤ちゃん可愛いですね、というふうに声をかけられるのも悪い気はしません。ネットで見るほど世の中悪い人だらけでもないですし。他にも、娘の何気ない行動をきっかけに、妻とそれぞれの子ども時代のことを語りあう、ということは二人暮らしの時はできないものだったな、なんて思ったりもします。

 

ありがたいことに育休を6ヶ月取得しましたが、色々な意味でとってよかったなと思っています。娘の世話や妻の回復の手伝いなど、多くのことができました。諸般の事情で注文住宅を建てることになり、その情報収集や行動をする際も、長期で休業を取れていることは非常に助かりました。

 

実際のところ、二人暮らし時代から家事はほぼ全て私がやっていたので、育休だから大変になった家事要素というのはあまり多くはなかったのですが、やはり子どもがいると粉ミルクやおむつを含め様々なものが必要になるので、買い物はちょっと手間が増える、そんな認識でした。娘が比較的良い子だったのも多分にあるかと思いますが、新生児期の慣れない時期を除けば、家事育児ともにかなりスムーズだったと思います(喉元過ぎれば的な話かもしれませんが)。

 

6ヶ月の育休取得をすると、育児休業給付金がもらえます(6ヶ月までは給料の3分の2、しかも社会保険料や健康保険料が引かれないので実質いつも通りの手取り!)。社会保険の元が取れるという意味でも育休はとったほうがいいのかもしれませんが、一方でこのような恩恵を受けられる(そもそも育休が取れる)のは、大企業でしかも育休を推奨する文化があるところなど、ごく限られた数しかないというのも事実かと思います。本当に育休を必要とする家庭が育休制度を使えているかどうかなどを考えると、社会制度と文化風習のギャップになんだかなぁと思うこともあります。まあとはいえ私にできることは多くないので、とりあえずありがたく育休を取れる環境に感謝しつつ、他の人にも育休の良さなどを伝えるくらいができればいいかなと思っています。

 

ちなみに、会社によるかもしれませんが育休給付金は微妙に振り込み時期が遅いので、育休を検討している人はキャッシュフローに十分に注意する必要があります。私の場合、10月〜3月で育休を取得して、最初に給付金が入ったのは1月、続いて3月、5月でした(私の会社では2ヶ月ごとに給付申請するそうです)。つまり育休を取る上では十分に生活費を貯蓄しておく必要があります。この事実も、上記と同様に本当に育休を必要とする人々が育休を取得するハードルを上げているように感じます・・・。

 

世知辛い話が続きましたが、それでも子どもを持つというのは様々な良さがあるかなと思っています。親などは当然喜びますし、特に年配の人たちからは称賛というか祝福みたいなものが強いです。何より、子どもが色々なものに興味を持って、たくましく成長していく様は感心します。子どもの日々の小さな変化や出来事が、上述したような、生活に彩りを生んでいるように感じます。

 

それに、子どもが生まれる前からしていた趣味も、なんとか続けることができています。子どもが寝た後に書道したり、子どもが音に合わせて体を揺らすのを見ながらギターしたり。子どもがいても私は私としての生活を続けるんだな、とも思いました。そういう意味では、自分の生活や人生を犠牲にしないと子どもが持てない、と思う心配はないですよ、と多くの人に伝えられたらと思います。まあ成長したらとか2人目とかのケースでどうなるかは未経験なのでその辺はなんともいえませんが。

 

娘には色々なことを教えてもらっているように感じます。長くなりましたが、今日はこのくらいで。娘へ、お誕生日おめでとう。

 

 

NIKKOR Z 50mm f/1.2 Sのレビュー

買ってから2年以上経ち、今更ながらレビューを書きたいと思います。

概要

 

私が持っているレンズの中で、(万が一)カメラ趣味を縮小するとしても最後まで残り続けるであろうレンズです。このレンズには、「私は大きいカメラで写真を撮るのが趣味なんです」と他人に胸を張って主張するのに十分すぎるほどの魅力があります。

 

描写

描写を味わうためのレンズ

このレンズを語る上で、この項目以外はほとんど必要ないのではないでしょうか。だってこのレンズは描写が売りのレンズだから。ボケ量だけを求めるなら望遠に、使い勝手を求めるなら標準ズームに、単焦点を求めるならf/1.4やf/1.8の小さめのレンズを買えばいいだけなのですから。

 

絞り開放かつ5~10メートル程度の被写体にフォーカスを合わせた時の立体感は極上のもので、この特徴は他のレビュー記事などでも多く取り上げられているかと思います。私もこれに賛成で、積極的に開放描写を使っています。

 

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 友人のポルシェを撮影

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 十和田湖にて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, ヴェルニー公園にて

 

「なんか良い」

 

立体感だとかボケの滑らかさとか描写の柔らかさとか、そのような表現でこのレンズはよく評価されるかと思います。しかし、どこか言語化しづらい部分にある、「なんか良い」ものがこのレンズで得られる写真には写っているように感じられます。

 

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, ケーキの作成途中風景

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 成田山新勝寺にて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 近所のスナップ

 

特にどの機材で撮ったなどの情報を言ってないのに、他人に「この写真いいね!」とアルバムの中から選ばれたり、サムネイルサイズの写真一覧の中からでも、「これがいいかなぁ」と雑に選んでみたらこのレンズで撮ったものだったり、なんてことがしょっちゅうです。

 

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, Automobile Councilにて

Nikon Z 5 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 津久井浜にて

 

とても不思議なのが、この「なんか良い」感じが、開放描写じゃなくても発揮されることです。このレンズは絞って使うのも良いと思います(設計者の人に言ったら絞るなんて意味不明だと言われそうですが)。もちろん被写界深度の確保や周辺減光の低減という話もありますが、絞ってもこのレンズの良さはあまり失われないということが言いたい部分です。ポートレートを撮る時はf/1.6くらいにするとバランスがいいです。

 

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, すし屋のかっちゃんにて。f/3.2に絞った。

 

この記事に載せている写真は上記の写真以外開放で撮影していますが、絞っても良さが残るため、風景にもうってつけのレンズです。このレンズの持つパワーで、存分に被写体の良さが引き出されるでしょう。

 

 

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 沖縄北谷にて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 八ヶ岳にて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 西沢渓谷にて

人に喜ばれる写り

上記の「なんか良い」という部分が大きく影響しているところかとは思いますが、このレンズで撮った写真を人に渡すとかなり喜ばれます。ポートレートで撮った友人や家族・親族の写真は掲載できないですが、およそ人をしっかり撮りたい場合はこのレンズさえあれば大丈夫です。断言できます。

使い勝手

描写以外は大抵マイナスポイントです。

  • いうまでもなく重いです。手首を鍛えましょう。
  • AF音が結構します。ただ、そもそもこのレンズは動画向きではないような気がするので、静止画限定であれば問題ないでしょう。
  • フォーカスリングは表面がゴム材で、リングの回転が大変滑らかです。MF操作することはあまりないと思いますが、触り心地が良いというのはGoodです。
  • コントロールリングはゴミです。指が当たりやすいところにめちゃくちゃ感度高く設置されているので、オフにすることを推奨します。

おわりに

とにかく描写一辺倒なレンズですが、このレンズの役割はそういうものですし、とても価値のあるレンズと言えます。なんてったって描写を求めてデカいカメラ買ってるわけで、平均的にフツーに写るだけならスマホでもいい時代になっていますから。

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 新橋にて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 日産グローバルギャラリーにて

Nikon Z 9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S, 奥入瀬渓谷にて


安いレンズではないですが、友人や家族・親族を撮るには必携というべきレンズですし、旅行先には(海外など盗難の心配がある地域でない限り)絶対に持って行くレンズです。気になっている人は是非買いましょう。価値のあるレンズであることは保証します。